華々しい開幕の舞台裏で下された“ある決定”に嘆きの声が上がっている。

 現地時間11月21日、ドイツやイングランド、オランダなど複数のヨーロッパの7か国は、サッカーのカタール・ワールドカップの試合で主将が差別撲滅の意味を込めて着用予定だった特注の腕章について、国際サッカー連盟(FIFA)から警告を受けたために、使用を断念する予定だと発表した。
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 そもそもなぜヨーロッパの国々は特別な腕章を着用しようとしたのか。それはカタール国内の法律に対する異議にある。

 というのも、カタールでは同性愛が違法とされる。そのために同国内でのLGBTQ(性的少数者)への扱いは世界的な問題になっている。それを受けて今大会に先駆けてドイツ、イングランド、オランダ、ベルギー、スイス、ウェールズ、デンマークの各主将は、LGBTQの社会運動を象徴する虹色と「One Love」の文字がプリントされた腕章を着用すると明言していた。

 しかし、いかなる場合においても、政治、宗教などの個人的なスローガンやステートメントの使用もしくは着用を禁止しているFIFAは考えを改めず。着用を予定していた7か国に着用した場合には警告など競技上の処分対象とすると通達した。
  当然各国からは無念の声が広がっている。現地時間11月23日に行なわれる日本代表戦で、守護神のマヌエル・ノイアーが腕章を着用予定だったドイツではFIFAへの嘆きの声が上がった。

 腕章の着用を巡っての最終的な判断はこれから協議するというドイツ・サッカー連盟のベルント・ノイエンドルフ会長は、母国の放送局『SPORT 1』の取材に「我々は人権のために主張していた」と強調。そして、一部からの批判覚悟で矢面に立ったノイアーの気持ちを慮った。

「我々はワールドカップ史上で前例のない驚きの出来事を目の当たりにしている。FIFAは、キャプテンがピッチ上で腕章を着用した場合に、スポーツ的な制裁を課すことを明確にしたんだ。我々はノイアーの背後で対立を招こうとしたFIFAの考えに賛同する気はない」

 早くもあらゆる問題が噴出している今大会。開会式に出演したハリウッド俳優のモーガン・フリーマン氏が語った「私たちを結び付けているものは、私たちを分断するものより遥かに大きい」という言葉の尊さも、どこか薄れつつあるように思えなくもない。

構成●THE DIGEST編集部

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