現地時間1月1日(日本時間2日、日付は以下同)、デンバー・ナゲッツは本拠地ボール・アリーナでボストン・セルティックスと激突。123−111で勝利し、今季成績を24勝12敗(勝率66.7%)とした。

 東西首位対決を制する原動力となったのは、やはりニコラ・ヨキッチだ。ナゲッツの大黒柱は30得点、12リバウンド、12アシストをマークし、今季9度目のトリプルダブルを達成。12月は平均29.2点、12.3リバウンド、10.1アシストにフィールドゴール成功率60.4%を記録したが、これはウィルト・チェンバレン(元フィラデルフィア・ウォリアーズほか)以来となる月間平均トリプルダブル&フィールドゴール成功率60.0%以上クリアの大偉業だった。

 現在、MVPレースではヨキッチが最有力候補とされており、現在のパフォーマンスが続けばリーグ史上4人目となる3年連続受賞も不可能ではない。ただ、ヨキッチ本人は先日公開されたセルビアのテレビ『Arena Sport』のインタビュー(『Eurohoops』が英訳)で「僕は記録のため、トリプルダブルでベストになるためにプレーしていない」と話していた。
 「正直、キャリアを終える時、もしかしたらMVPトロフィーは僕にとって(今より)もう少し意味を持つことになるかもしれない。(けど)表彰されることを追いかけたり、あるいはそのことについて考えたことはなかった。

 何かを欲しがっている時にそれが手に入れば、ハッピーになるのは必然さ。けどそういったアウォードというのは別に気になることじゃないし、喜びすぎることもない。僕は記録のため、それにトリプルダブルでトップに立つためにプレーしてはいないことを認めないといけないね」

 今季のヨキッチは、ここまで33試合に出場して平均25.7点、10.9リバウンド、9.5アシスト、1.4スティールにフィールドゴール成功率62.0%、フリースロー成功率81.3%。得点アベレージはここ3シーズンで最も低いものの、アシストとフィールドゴール成功率、フリースロー試投数(平均6.8本)でキャリアハイの成績を残している。

 加えてヨキッチは、今季のチームは過去2シーズンとは異なるものだと話していた。

「このチームには50得点も可能なジャマール・マレーがいて、アーロン・ゴードンは20、30、もしくは40得点だって奪えるし、マイケル・ポーターJr.は7、8本のスリーを決めることができる。(ケンテイビアス)コールドウェル・ポープもアウトサイドショットが上手く、ベンチにはボーンズ・ハイランドのようにエナジーを持ち込んでくれる男がいる。
  僕らは新しいチームなんだ。今年の僕は過去2シーズンとはまったく異なるものとして見ている。僕のパフォーマンスは似ているけど、同じではないんだ。大抵、ベストプレーヤーというのは(チームで)最も多くのショットを放つ。けど僕に関しては、いつもゲームの中で与えられるショットをいつも打っているんだ。40得点以上することもあるけど、10得点の時だってある。僕はスコアリングが最も重要なことではなく、様々な方法でゲームに影響を与えられることを示すのが好きなんだ」
  キャリア8年目の今季も充実したシーズンを送るヨキッチ。ナゲッツにおいて平均20.0点を超えているプレーヤーはヨキッチのみだが、マレーにゴードン、ポーターJr.、ハイランド、コールドウェル・ポープ、ブラウンと、計7選手が平均2桁得点を残しており、選手層も厚くなっている。

 ただ、ナゲッツがこのままウエスタン・カンファレンス上位の戦績を記録し、ヨキッチが同程度のスタッツでレギュラーシーズンを終えることとなれば、このチームの“最重要人物”が3年連続のMVPに輝くことは間違いない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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