2023年のF1も10チーム20人のドライバーによって覇権が争われることになる。マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が3連覇を果たすのか、メルセデス勢が王座奪還を果たすのか、あるいは新たな王者が生まれるのか……興味は尽きない。
  また、今年はオスカー・ピアストリ(マクラーレン)、ニック・デ・フリース(アルファタウリ)、ローガン・サージェント(ウィリアムズ)が新たに、世界最高峰レースにフル参戦する。それぞれ異なるタイプのルーキーが、世界で最も難しいレースでいかなるパフォーマンスを披露するかも気になるところだ。

 このように、多くの注目点を提供する20人のドライバーだが、英国のスポーツ専門サイト『sportskeeda』は、シーズンプレビューの意味も含めて、改めて「全F1ドライバーの最も重要なストロングポイント」を紹介。一時のF1では増加していた「ペイドライバー」ではなく、それぞれが他とは一線を画すスキルを持った20人の特徴が、端的に記されている。

 まず、現王者のフェルスタッペンについては、「最大の強みとして、その膨大な『才能の貯蔵庫』を挙げる者が多いが、それは必ずしも真実ではない。彼を際立たせているのは、その一貫性と、週末ごとに非常に高いレベルでパフォーマンスを発揮できる能力だ。20以上の、ほとんど絶え間ないスケジュールの中でそれをこなせることこそ、彼の偉大さを示している」と指摘している。

 その他では、王者のチームメイトであるセルジオ・ペレスが「タイヤ・マネジメントとレースの組み立て」、フェラーリのシャルル・ルクレールは「生来の速さ」、カルロス・サインツは「才能では他のドライバーには及ばないかもしれないが、レース運びが整然としており、車の細部を理解していること」、メルセデスのルイス・ハミルトンは「レースの全体像を頭に描き、それを忠実に実践できる能力」、ジョージ・ラッセルは「最大の武器は、敵に忍び寄る能力。まさに『静かな暗殺者』」だという。

 アルピーヌのエステバン・オコンは「最後まで諦めず、コースのどこでもバトルを厭わない」、新加入のピエール・ガスリーは「どん底に落ちても反撃できる精神的強さ」、マクラーレンのランド・ノリスは「フェルスタッペンのような安定感。昨季はこれでチームメイトのダニエル・リカルドを混乱させた」、ルーキーのピアストリは「早熟な才能」、アルファロメオのヴァルテリ・ボッタスは「予選での速さ」、ジョウ・グァンユは「生まれつきの速さを持ち、F1に値する」というものだった。
  続いて、アストンマーティンの大ベテラン、フェルナンド・アロンソは「粘り強さと相変わらずのハングリーさ」、ランス・ストロールは「磨き抜かれていない才能。ゆえに本気で取り組めば、素晴らしい仕事を果たせる」、ハースのニコ・ヒュルケンベルクは「まだ100%発揮されていない才能と堅実さ」、ケビン・マグヌッセンは「競技への気概。才能は他のドライバーほどではないかもしれないが、努力を怠らない」ことが挙げられている。
  ウィリアムズのアレクサンダー・アルボンは「多くの浮き沈みを経験」、新人サージェントは「豊富な才能を持つノーカットのダイヤモンド」、最後にアルファタウリのデ・フリースは「28歳のルーキーは、レースでの長い経験が役に立つ」、そして角田裕毅については以下のように綴られている。

「角田は才能の塊であり、この競技で多くの素晴らしいことを成し遂げる可能性を秘めている。彼はその気になれば、F1界最大のスターになれる能力も持っているが、2023年は、パフォーマンスを十分に発揮するか、あるいは消えてしまうかというプレッシャーに晒されることになるだろう」

 ちなみに同メディアは、別の記事では新シーズンに向けての反省の意味を込めてか、「各ドライバーの2022年ワーストレース」を挙げており、角田については好結果が望めたにもかかわらず、前を塞いでいたチームメイトのガスリーを強引に抜こうとして接触したイギリス・グランプリが挙げられ、「決して同士討ちはしてならないということを、角田はこの時、完全に忘れていた。日本人ドライバーは今季もクラッシュの傾向が強かった」と寸評で指摘された。

 来る新シーズンでは、この失敗を繰り返すことなく、豊富な才能を存分に活かして素晴らしい結果を残せるか。F1での3年目を迎える角田が、新たな体制でのアルファタウリでどのような姿を見せるかが非常に興味深い。

構成●THE DIGEST編集部