「アイバーソンは優勝していない史上最高の選手」レジェンドを押しのけ推挙した理由をアリナスが説明「彼を破ったチームを見ろ」<DUNKSHOOT>
スモールボール化、ポジションレス化が進む現代NBA。そんな今から遡ること約20年、隆盛を極めた希代のスコアリングマシンがアレン・アイバーソンだ。
1996年のドラフト1位でシクサーズに入団し、瞬く間にチームのエースとなったアイバーソンは、身長183cm(実際はそれ以下とも)のサイズながら鋭いドリブルで大男たちを次々とキリキリ舞いさせて得点を量産。2000−01シーズンには平均31.1点で自身2度目の得点王に輝くとともに、シーズンMVPを獲得、NBAファイナルにも進出した。
キャリア中盤以降はデンバー・ナゲッツ、デトロイト・ピストンズ、メンフィス・グリズリーズ、シクサーズ、トルコのベシクタシュと渡り歩き、通算2万4368得点は歴代31位にランクイン。観ている者に痛快さを与えるプレーと「大事なのは身体のサイズじゃない。“ハートのサイズ”だ」の名言で多くの人々の記憶に刻まれ、2016年にはバスケットボール殿堂入り、2021年にはNBA75周年記念チーム選出も果たしている。
そんなスーパースターに欠けていた唯一の栄誉は、NBAチャンピオンの称号だ。キャリアで優勝を果たせなかったレジェンドの話になると、必ずと言っていいほどアイバーソンの名前が挙がる。YouTube番組『djvlad』では、かつてワシントン・ウィザーズなどで活躍したギルバート・アリナスが、アイバーソンについて自身の考えを述べた。
まず、アイバーソンとほかの選手の違いについて問われると「白人(選手)のエネルギーと黒人(選手)のスキルを持ち合わせたような選手。彼は狙って60得点が取れる(2005年2月のオーランド・マジック戦でキャリアハイの60得点をマーク)。ほかの選手とはエネルギーのタイプがまったく違う」と回答。
続けて「アレン・アイバーソンはリングを持っていない選手で最も偉大?」との質問には、「チャールズ・バークレー(元サンズほか)、パトリック・ユーイング(元ニューヨーク・ニックスほか)……」と考え、インタビュアーから「(バークレー、ユーイングのほかに)ジョン・ストックトン(元ユタ・ジャズ)、カール・マローン(元ジャズほか)、ドミニク・ウィルキンス(元アトランタ・ホークスほか)、これがトップ5リスト」と補足されると、アイバーソンを“一番”の座に据えた。
「アレン・アイバーソンはおそらく(チャンピオン)リングを持っていない選手では史上最高の選手だろう。どれだけ支配的だったか、どれだけ一生懸命にプレーしていたか。彼の偉大さを知りたければ、彼を破って優勝したチーム(シャキール・オニール&コビー・ブライアントを擁するロサンゼルス・レイカーズ)を見ればいい。それがすべてだ」
マローンやストックトン、バークレー、ユーイング、レジー・ミラー(元インディアナ・ペイサーズ)といったレジェンドは長いキャリアで優勝を果たせず、スティーブ・ナッシュ(元サンズほか)やヴィンス・カーター(元トロント・ラプターズほか)はNBAファイナルにさえも進出できなかった。そのなかで、ソウルフルなプレーで世界を魅了したアイバーソンこそが、“無冠のレジェンド”の中では最も偉大だとアリナスは主張したいようだ。
構成●ダンクシュート編集部
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