今季、F1を戦う20人のドライバーの中で、2023年で所属チームとの契約満了を迎えるドライバーは7人いる。そんな彼らにとってはチーム残留、あるいはF1での生き残りを懸けた戦いも強いられることとなる。

【動画】2022年シーズン最終戦を飾ったのはフェルスタッペン! 2位争いも最後まで白熱 その7人とは、ルイス・ハミルトン(メルセデス)、ジョウ・グァンユ(アルファロメオ)、ケビン・マグヌッセン、ニコ・ヒュルケンベルク(ともにハース)、角田裕毅、ニック・デ・フリース(ともにアルファタウリ)、ローガン・サージェント(ウィリアムズ)で、英国のF1専門サイト『planetf1』は、彼らが来季以降、チームに残ることができるか否かを予想している。

「残留」が予想されているのは、ハミルトン、ハース勢、そしてデ・フリースの4人。ハミルトンについては、昨年中に新たな複数年契約が計画されていると報じられており、また彼がチームから厚い信頼を得ていることで、F1ドライバーとして40代を迎えることになるのは確実だと思われる。

 ただ、昨季後半に見られた凡ミスがより増加し、なおかつ若きチームメイトのジョージ・ラッセルがチームリーダーの座を主張し始めた場合、逆に彼が昨季の屈辱を晴らして新たなタイトルを獲得した場合には、これ以上の契約延長を彼が望まないこともあり得ると、同メディアは綴っている。

 続いて今季よりコンビを組むハースの2人だが、まず昨季F1に復帰してブラジルでのポールポジションなど多くの驚きを提供したマグヌッセンに対しては、チーム代表のギュンター・シュタイナーが絶大な信頼を寄せ、去就はマグヌッセンの意向次第だというほど。一方、3年間フルタイムのシートから離れていたヒュルケンベルクについても、チーム代表はその経験に惚れ込んでおり、この復帰が復帰したとしても35歳という年齢は他チームからの引き抜きを避けられるということで、こちらも“安泰”だという。

 角田のチームメイトとして、28歳でイタリア・ファエンツァのチームからF1デビューを飾るデ・フリースは、すでにF2やフォーミュラEでタイトルを獲得するなど、単なるルーキーという見られ方はしておらず、同メディアは「信頼できる一貫したパフォーマーとして台頭する可能性が高い」と予想。アルファタウリで2年は熟成の期間を与えられ、「レッドブルが昇格の可能性を評価する」ことになるとのことだ。
  一方、「チーム離脱」を予想されたのは、ジョウ、角田、サージェント。昨季、中国人初のF1ドライバーとなったジョウは、ルーキーながらも安定したドライビングで、「平均以上のレベルにあることを証明した」と同メディアは評価するが、アウディが2026年のエントリーに向けて戦略パートナーにザウバー(アルファロメオ)を選んだことで、F1のビジネスの部分が優先され、アウディの将来のドライバー候補とされるミック・シューマッハー(メルセデスのリザーブドライバー)が取って代わる可能性を示唆している。
  新シーズンの3人のルーキーのひとりであるサージェントは、昨年末に22歳になったばかりのアメリカ人ドライバーだが、同メディアは彼の起用が純粋に能力によるものか、あるいは米国で拡大しているF1市場を見据えてのもの(あるいはスポンサー目当て)かを見定められずにおり、後者の場合は来季の車が極めてトリッキーなものとなる可能性があることから、「より多くの困難や課題に直面するするかもしれない」と予想。そして、結果を出せない場合は、あえなく別のドライバーに白羽の矢が立てられることになるようだ。

 そして、最後に角田。フランツ・トスト代表は「ドライバーがF1に完全に慣れるのに3年はかかる」と常々語っていたが、その勝負の3年目を角田は迎える。レッドブルが2025年までホンダと協力関係を維持することは、日本人ドライバーのシートを保証する根拠としては弱いとし、「ルーキーのチームメイトを倒すという課題は、角田にさらなるプレッシャーをもたらす」と指摘する。

 角田にとっては、審判の時が迫っているということだが、同メディアは「これまでにない好パフォーマンスを増やすことだけが、彼を救うだろう」と残留の条件を挙げている。これは、トスト代表からもことあるごとに語られていることであり、彼の言葉を借りれば、「全てはユウキ次第」ということだろう。

 結果を残すことが求められる角田だが、2年間をともに戦ったピエール・ガスリー(アルピーヌ)は、ドイツの自動車専門誌『Auto Motor und Sport』に「ユウキのF1での最初のシーズン、彼が昨年のようなパフォーマンスを発揮していれば、我々は間違いなくコンストラクターズランキングで5位フィニッシュを果たしていた」と語り、昨季までのチームメイトが成長を遂げていることを強調している。

 フランス人ドライバーは、「だからこそ、僕はアルファタウリに可能性を見出している。人材やシステムが整っているチームにとって、予算や風洞実験に関するレギュレーションの変更は、中団争いを展開する上で助けとなるはずだ。決して、下位を戦うようなチームではない」と、長く過ごしたチームが、再び一昨季までのような躍進を再開することに太鼓判を押した。

構成●THE DIGEST編集部
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