NBAレジェンドの1人、アレン・アイバーソン。1996年のドラフト1位指名でフィラデルフィア・セブンティシクサーズに入団した公称183cmの小柄なガードは、新人王、シーズンMVP、4度の得点王獲得など輝かしい実績を残しただけでなく、観る者の心を震わせる熱いプレー、そしてコート外でも圧倒的なカリスマ性を誇った、2000年代を代表するスーパースターだ。

 そんなアイバーソンが最も敬愛する選手がマイケル・ジョーダン。NBAの象徴とも言えるレジェンドに対し、アイバーソンは常にリスペクトを示し、最大限の賛辞を贈ってきた。

 1月10日(日本時間11日)に掲載されたファッション・カルチャー雑誌『GQ』のインタビューでも、アイバーソンはジョーダンについて言及。自身のプレースタイルに関する質問を受け、シカゴ・ブルズを6度の優勝に導いた“神様”がキャリアにどれほど影響を与えたのかについて語った。
 「マイク(ジョーダンの愛称)から学んだんだ。俺はいつも彼をスーパーヒーローのように見ていた。リストバンドの着け方や、スキンヘッド。顎髭に、脚に着けたサポーターも好きだった。俺のヒーローだったんだ。

(デトロイト)ピストンズが彼を破った時、泣いたことを覚えている。母がドレッサーの上にテレビを置いていたんだけど、『失明する前に離れろ!』って言われるくらい、近くで観ていたよ。それくらい、俺は彼を愛していた。近くにいたかった。彼は、俺にバスケットボール選手になるためのビジョンを与えてくれたんだ」

 ただ、そんなアイバーソンも、新人時代にジョーダン率いるブルズと対戦した際に「俺は誰も尊敬しない」と発言、それがジョーダン含む全員に対する言葉だと受け取られ物議を醸した。このことについて、アイバーソンは「ルーキーイヤーに傷ついたことがあった」と切り出し、こう話した。

「ブルズと対戦していた時、ジェリー・スタックハウスがマイクとスコッティ・ピッペンに喧嘩を売ったのを覚えている。俺はフリースローラインにいて、その口論に巻き込まれることはなかった。スコッティは『誰に対してもリスペクトしないなら、俺たちをリスペクトしろ』と言ってきたんだ。
  俺は当時21歳、若くて自信に満ちあふれていた。俺はただ『俺たちは誰のことも尊敬していない』って言ったんだ。ダンスフロアでは誰も尊敬しないという意味さ。彼らはその言葉を鵜吞みにし、実行に移した(このシーズン、シクサーズはブルズに全敗)。マイケル・ジョーダンをリスペクトしていないだって⁉ふざけてるよ。俺が関わっているから大問題になったんだ」
  自身が意図するところと違った意味で発言を捉えられ、傷ついたことを明かしたアイバーソン。そしてこの言葉が、彼に“唯我独尊の選手”というイメージを与える一因となったのは間違いない。

 ジョーダンを敬愛するアイバーソンからすれば、この一件は非常に不本意だったことだろう。それでも、現在のアイバーソンの言葉の端々から、ジョーダンに対するリスペクトの気持ちは十分に伝わってくる。

構成●ダンクシュート編集部

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