レブロンの相棒はデイビスではなくレナードだった? レイカーズOBが2019年夏を回想「私ならカワイを手に入れていた」<DUNKSHOOT>
2023年一発目のゲストは、NBA史上最高のPG(ポイントガード)と評されているマジック・ジョンソン。1980年代にロサンゼルス・レイカーズを5度の優勝へ導いた206cmの大型司令塔は、想像力豊かなノールックパスやバスケットボールに対する情熱、人を惹きつけてやまない笑顔などにより、コート内外でファンを虜にした。
キャリアでオールスターに12度、オールNBAチームに10度選ばれたほか、シーズンMVPとファイナルMVPにそれぞれ3度、さらにはアシスト王を4度、スティール王も2度獲得。2002年に殿堂入りを果たし、2021年秋には75周年記念チームにも名を連ねたレジェンドだ。
そのマジックは、選手としてだけでなく、引退後もレイカーズに従事。1993−94シーズン終盤にはHC(ヘッドコーチ)として指揮を執り、2017年2月から2019年4月までバスケットボール運営部代表を務めるなど、多岐にわたって関わってきた。
特にフロント時代、マジックはロブ・ペリンカGM(ゼネラルマネージャー)と二人三脚でチーム強化に尽力。2018年夏には殿堂入り確実なスーパースター、レブロン・ジェームズを獲得する上で絶大な貢献をしたことは間違いない。
番組内で、マジックはレブロンをレイカーズへ招き入れた際に“もう1人のスーパースター”の獲得を狙うと話していた。そのターゲットとは、2019年オフにトレードで加わったアンソニー・デイビスではなく、カワイ・レナードだったという。
「私は言ったんだ。『君(レブロン)とサインした後、私はいくつか動いていく。そのあとは…』。当時はカワイになると思っていた。彼は翌年(2019年)にフリーエージェントになったからね」
レブロン加入初年度となった2018−19シーズン、レイカーズはそのレブロンが故障離脱したこともあって37勝45敗(勝率45.1%)と低迷。6シーズン連続でプレーオフ進出を逃していた。
そんななか、2019年1月末にデイビスが当時所属していたニューオリンズ・ペリカンズに自身のトレードを要求。リーグ最高級のビッグマンが「コンスタントに勝利することができ、チャンピオンシップ争いができるチーム」へ行くことを希望し、レイカーズも移籍先候補となった。
「アンソニー・デイビスがトレード可能になるだろうとは誰も知らなかった。そこで私は、あの時点では(レブロンへ)『君を獲得する。そのあとにカワイを獲りに行く』と言ったんだ」
そう当時を回想したマジック。結局レイカーズは2019年2月7日のトレード・デッドラインまでにデイビスのトレードをまとめることができず、マジックは同年4月に辞任。ペリンカGMの下、チームは同年夏に大型トレードの末にデイビスをロスターに加え、レブロンとの超強力タッグを形成して2019−20シーズンにフランチャイズ史上17度目のリーグ制覇を果たした。
一方、レナードは2019年夏にポール・ジョージとともにクリッパーズへ移籍。レブロン&レナードという、リーグ最高級の実力者たちによる共演は幻になったが、マジックは実現可能なシナリオだったと話している。
「私はカワイを手に入れていたかもしれない。私が取引を成立させるべくその場にいたら、成功していた。いいかい、私は自分に課せられた課題、リサーチをしていく。もし交渉の場に入れば、相手の望むものをすでに把握し、(契約成立へと)持ち込んでみせる。私はレブロンが欲しがっていたものを知っていたんだ。私ならカワイが望んでいたこともわかっていたかもしれないし、レブロンと同じようにカワイも説き伏せていたかもしれない」
今となっては“タラレバ”の会話ではあるものの、マジックが持つ影響力は絶大。もしフロントに留まっていれば、レイカーズは今とはまったく違うメンバーになっていたのではないだろうか。
文●秋山裕之(フリーライター)
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