現地時間1月19日、ゴールデンステイト・ウォリアーズとボストン・セルティックスによる昨季NBAファイナルの再戦がTDガーデンで開催され、ホームのセルティックスが121−118で勝利。

「まるでプレーオフゲームのようだった」と語ったジェイレン・ブラウンが、第4クォーター終盤に起死回生の3ポイントを決めて延長に持ち込み、オーバータイムの末に宿敵をホームで撃破した。

 とはいえ、昨季ファイナル第4戦で7本の3ポイント成功を含む計43得点に10リバウンド、4アシストの大爆発を見せたステフィン・カリーは、この日も敵地で大暴れ。

 フィールドゴール成功率36.0%(9/25)と成功率こそ低かったものの、29得点、7アシスト、3スティール、2ブロックをマーク。前半終了間際にはジェイソン・テイタムからスティールを奪い、ハーフコートよりも遠い位置から見事ブザービーターの長距離砲をスプラッシュ。それを見て肩を落としたマーカス・スマートの仕草が、会場全体の雰囲気を体現していたと言っていい。
  そんななか、NBAインサイダーのマーク・スタイン記者がこの日、カリーと1対1で会話した際の内容を公開。3月14日に35歳を迎えるスーパースターは「身体はいい感じさ。選手としての僕は、すごく快適なんだ」と語り、さらにこのように続けていた。

「このレベルで勝つためには何が必要なのか、それに再び(連覇を狙うという)チャレンジを受け入れることができていることが快適なんだ。けど、この機会が滅多にないということもわかっている。だからこそ、この瞬間に感謝しているのも確かだね」

 ウォリアーズは20日を終えた時点でウエスタン・カンファレンス8位の23勝23敗(勝率50.0%)。5位のダラス・マーベリックス(25勝22敗/勝率53.2%)と1.5ゲーム差である一方、12位のポートランド・トレイルブレイザーズ(21勝24敗/勝率46.7%)とも1.5ゲーム差と、ウエストは近年稀に見る大混戦となっている。
  ウォリアーズにはカリーのほか、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーン、アンドレ・イグダーラといった4度の優勝経験を持つベテランたちがいるのだが、昨季はジョーダン・プールにジョナサン・クミンガ、モーゼス・ムーディーといった若手たちにも機会を与え、育成しながらリーグ制覇を成し遂げた。

 チーム最古参のカリーは、今季もそのことを意識しているという。長期間の王朝構築を目指すウォリアーズのリーダーとして、こうも話していた。

「どのポジションにいようと、若い選手たちを助けたい。それが次の段階だからね。勝ちたいし、それと同時にどのようにして勝利していくかを教えていきたいんだ」

 キャリア14年目を迎え、大ベテランと呼べる域にまで達したカリーだが、今季もここまで平均34.3分の出場で29.3点、6.4リバウンド、6.3アシスト、3ポイント成功率41.7%(平均4.9本成功)と、依然としてリーグトップクラスのパフォーマンスを維持している。カリーは自身の現在地をこう語っていた。
 「リーグ入りした時、僕は“16年間はいたい”と望んでいた。それは父さん(デル・カリー)がプレーしてきた年数なんだ。今の僕はその途中にいる。僕は(どれだけ長くいられるかという)ゴールを設定していない。それよりも、今の身体の感覚や日々どうやってプレーしていくか、エナジーと楽しみを持ち込み、試合後に回復できているか、それらを維持していくことを大事にしているんだ」

 現在、NBAにはキャリア20年目、38歳ながら超人的な活躍を続けるレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)というスーパースターもいるが、カリーは「今から4年か6年に向けて、『僕のタンクにはまだまだ(エネルギーが)残っているんだ』と思っている」と、今後もプレーできると自信を覗かせていた。

 世界中のファンは、もうしばらくカリーがプレーする姿を観ていることができそうだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

【PHOTO】プレーでもルックスでもファンを魅了!NBA史上最高のシューター、ステフィン・カリーの厳選ショット!