【全豪オープンテニス】穂積絵莉、加藤未唯、柴原瑛菜ら日本女子ダブルスのそれぞれの歩み<SMASH>
2023年シーズン最初のテニス四大大会となる全豪オープンには、計6名、5組の日本人女子がダブルスに参戦した。うち4組が初戦を突破し、2組が3回戦へコマを進めている。それぞれが異なる道を歩んでこの地に至り、各々の課題や想いを抱えながら。
昨年、二宮真琴と組んでシーズンの大半を周った穂積絵莉は、今大会には、タマラ・ジダンセク(スロベニア)と組んで出場した。
昨年の全米オープン初戦で敗れた時、穂積は「自分のテニスのベースが落ちている気がする」と口にした。
ツアーでは3つの優勝を手にした穂積/二宮のペアだが、グランドスラムになると勝てない。その理由を穂積は、「シングルス選手とダブルスで対戦すると、ストロークやサーブなどショットの質で負けている」と目した。
それもあり昨年終盤は、シングルスに多く出場。オフシーズンの練習も、シングルスが中心だったという。
精神面でも、「ダブルスだけ回るのは自分に向いていない」と感じたとも言った。
「ダブルスで結果が出ていた時は、シングルスもやって、ダブルスは楽しくできていた」。それがダブルス一本となると、どこかで苦しくなってしまう……というのが、彼女の分析だ。今年はシングルスとダブルスを両立し、相乗効果を期しながらのシーズンとなる。
一方の二宮は、「ダブルスには、ダブルスプレーヤーの勝ち方がある」と言った。
「相手の前衛の動きを見て、後衛からストレートやロブを上手く使う」
それら技術や戦略性を磨けば、ダブルス一本でも十分に勝っていけるというのが、彼女の信念だ。今大会は2回戦で敗れたが、パートナーのクリスティナ・ブクサ(スペイン)との関係は良好。「また組もうね」と声を掛けられたが、ブクサはシングルスがメインのため、固定パートナーとなるかは未定だ。
2018年には穂積と組み、全仏オープン決勝の舞台まで行った。その時は届かなかった頂点に、昇り詰めるのが今のゴール。
同時に、「シングルスをやりたい思いは、ずっと持っている」。そのためにも、「ダブルスで大きな結果を出して、シングルスを回る余裕を作る」のが彼女の青写真だ。
二宮に、「ダブルスで勝ってシングルスもやりたい」と思わせた要因の一つが、同期の加藤未唯だ。加藤もこの4年ほどダブルスを中心にツアーを周っていたが、昨年終盤は横浜開催のITF25,000ドル大会で準優勝、京都のITF6万ドルでは優勝し、1000位台だった単ランキングを一気に300位台まで上昇させた。
単複両立の相乗効果だろうか、加藤は今季開幕戦のオークランド(WTAツアー)のダブルスでも優勝。昨年の全仏オープンから組みはじめたアルディラ・スチアディ(インドネシア)とは、プレーも性格面でも愛称が良く、「ツアーそのものが楽しい」と感じているという。
ただ今後課題になりそうなのが、単複のバランス。シングルスに出たい思いはある。ただダブルスのランキングが上がったことで、ツアーの上位大会にも出られるようになった。3月末のマイアミ・オープンまでは、今のパートナーと出場予定。そこからは、シングルスにも出て行く心意気だ。
かつて不動のペアだった青山修子と柴原瑛菜は、昨年は組む機会が激減した。柴原がシングルス挑戦を望んだため、ダブルス専念の青山とはスケジュールが合わないことが多かったためだ。
ただその間にも柴原は、複数のパートナーと組みながら新たな経験を積み、腕を磨いた。とりわけ本人が「上達した」と感じているのが、前衛での動き。
「去年はストロークが得意な選手と組むことが多かったので、私は前で頑張りました」
そう笑う柴原の成長を、青山も「試合中も『届いたー!』と叫びながらボールに飛びついています」と優しく評する。
その青山も昨年は、リターンを重点的に磨き、後方からの打ち合いにも自信が持てていると言った。ツアーでは1年ぶりに組んだ昨年のベスト4ペアが、新たなケミカルを生み始めている。
今大会、もう一人ダブルスに出場したのが、単複両方でワイルドカードを得た内島萌夏。シングルスも含め、これが彼女にとって初のグランドスラムである。
シングルスでは初戦で敗れたが、3日後のダブルスで初勝利。全日本選手権ダブルスタイトルも持つ21歳は、「ダブルスは苦手なのに、ジュニアの頃から、いつも先に結果が出るのはダブルス」と苦笑い。
「グランドスラムでも、そうなれば」と、ポジティブなジンクスを携えメルボルンを後にした。
現地取材・文●内田暁
【PHOTO】世界で戦う日本人女子テニスプレーヤーたち!