スクーデリア・アルファタウリを率いるフランツ・トスト代表は先日、ハースのシートを失ったミック・シューマッハーについて「彼を起用することを検討した。アルファタウリの車にミックを乗せたかった」と語ったが、後にドイツの放送局『Sport1』で、再びこのことに言及している。

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 1990年代から2000年代にかけて、ドイツのF1ブームを目の当たりにしてきた彼は、現在の状況に危機感を覚えており、「この国では、人々のF1への関心が非常に低くなっている。このままではダメだ。それは、サッカーでも同じことを感じる」と、正直な思いを明かしている。

「現在のドイツ代表チームへの関心の欠如は、ワールドカップでの無残な結果によるものだろう。もし、カタールで決勝に進んでいれば、ドイツ国民の半分以上が代表チームをフォローし続けただろう。明らかなのは、人々はヒーローを求めているということだ。それは鉄(チーム)ではなく、生身の人間でなければならない」

 ラルフの兄であるミハエルが「皇帝」としてF1を席巻して2004年までに史上最多7度の年間王者を達成し、2010年からはセバスティアン・ヴェッテルが4連覇、そして2016年にニコ・ロズベルグが頂点に立ったが、これを最後にドイツ人ドライバーがF1界の主役に立つことはなく、メルセデスが2014年から8年連続でコンストラクターズタイトルを獲得しても、ドイツ国内でのF1人気は低下の一途を辿っているとされてきた。

 このような状況に、トスト代表は「ヒーローだけがブームを巻き起こすことができる。ミハエルがそうであったように。他に例を挙げるなら、テニスだ。以前、この競技に関心を示すのは、裕福な市民だけだったが、ボリス・ベッカーとシュテフィ・グラフの成功により、状況は突然変わり、全ての子どもたちがテニスをやりたがるようになったものだ」と指摘している。

 そして彼は、改めてミハエルの息子であるミックについて言及、「彼は新しいヒーローになれたかもしれない。しかし、残念ながら今のところ、最高のクラスから外れてしまっている。シューマッハーという名前のためではなく、私はミックの才能と能力を信じており、アルファタウリで彼に会いたいと思ったが、残念ながらうまくいかなかった」と無念さを表わし、彼が早いうちにF1ドライバーとして復帰することを願った。

「ミックができるだけ早くスターティンググリッドに戻る方法を見つけることが重要だ。不可能ではないが、簡単でもない。確かなことは、彼のカムバックがドイツのF1を含めたモータースポーツにとって、非常に重要であるということだ。ミックのキャリアが、ドイツでの同競技への関心度を決定する。ニコ・ヒュルケンベルグ(ミックに代わって今季よりハースでシートを得たベテランのドイツ人ドライバー)では、これは成し遂げられない」
  ドライバーの存在や活躍が、その出身国のF1人気に大きな影響を与えるのは、ドイツだけではない。日本も小林可夢偉が2014年にケータハムでシートを失って以降、長く自国ドライバーが現われず、ホンダが不振を極めていたこともあって盛り上がりに欠ける時期が続いたが、2021年に角田裕毅がアルファタウリからF1デビューを飾ることが発表されてからは、明らかに注目と関心は高まったものである。
  日本でのF1人気の鍵を握る存在という重責をひとりで担う角田だが、オランダのF1専門サイト『RacingNews365』の「2023年により強さが求められる5人のドライバー」という記事において、“よりプレッシャーを強いられるドライバー”に、ランス・ストロール(アストンマーティン)、カルロス・サインツ(フェラーリ)、セルジオ・ペレス(レッドブル)、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)とともに、その名前が挙げられている。

「2021年の角田は、デビュー戦での入賞、1年を通してのクラッシュの多さ、下部カテゴリーで走行経験のないコースでの難しいレースと、全てがルーキーとして想定されるものだった。しかし2年目を終えた彼は、ニック・デ・フリースという新たなルーキーを迎える立場にあり、もはや言い訳は許されない。そしてレッドブル・ジュニアチームには、今季F2に参戦しながら、最高峰レースに昇格する機会を狙っている6人のドライバーがいる」

 このように、同メディアから「追われる立場」であることを強調された角田。彼にプレッシャーをかける新たなチームメイトのデ・フリースはオランダ人であり、この国もマックス・フェルスタッペン(レッドブル)の成功によってF1人気が爆発し、実に1985年以来となるグランプリ開催まで実現させている。

まさしく、ドライバーたちは「国」を背負っていると言えるが、角田にとって勝負のシーズンとなるF1での3年目は、日本のモータースポーツにとっても非常に重要なものとなるかもしれない。

構成●THE DIGEST編集部
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