ブライトンの三笘薫がカタール・ワールドカップ以降、目を見張るような活躍をプレミアリーグの舞台で見せるようになってから、この世界最高峰の舞台においても、日本人選手は注目のブランドとなってきているようだ。

 【動画】徹底マークのなかでも切り裂く! 敗れるもフルアム戦でも魅せた三笘薫の鮮やかな切り返し! 当然ながら三笘本人にも幾つかのクラブから関心が寄せられ、彼の去就が人々の興味の対象となっているが、一方で各クラブは「ネクスト三笘」を探し出すことにも熱中し、他の日本人選手の物色を行ない始めたという。先日は、英国紙『Daily Telegraph』が、オーストリアのLASKリンツでプレーするFW中村敬斗にリバプールやブライトンが獲得を視野に入れた調査を開始したと報じている。

 この件について、「リバプールが『ネクスト三笘』をスカウト」と報じた同クラブの専門サイト『LIVERPOOL.COM』は、「リバプールは『ネクスト三笘』を発掘するため『南野拓実の移籍』を繰り返すべきだ」と題した記事において、日本人選手の獲得がクラブに恩恵をもたらすことになると主張した。

 リバプールといえば、今季はブライトンにプレミアリーグ(0-3)、FAカップ(1-2)の両方で敗北を喫し、とりわけ三笘には右SBのトレント・アレクサンダー=アーノルドが完全に打ち負かされ、またFA杯では終了間際に美技での決勝ゴールを食らうなど痛い目に遭っているが、振り返れば2019年10月、チャンピオンズ・リーグでレッドブル・ザルツブルクと対戦した際、1得点1アシストを記録した南野に苦しめられると、その約2か月後にはこの日本代表を自チームに迎え入れている。

 725万ポンド(約10億円)の移籍金で加入した南野は、ユルゲン・クロップ監督の主戦力とはならなかったが、カップ戦では貴重な働きを果たし、昨夏にモナコに新天地を求めた際には1300万ポンド(約21億円)を置き土産にしたことで、リバプールには十分な利益をもたらした。この成功例を知る同メディアは、南野とは違ってプレミアリーグでもブームを巻き起こすほどの好調ぶりを見せた三笘を「クラブにとって、持続可能でありながら、大きな財政的利益も得られる、賢明な補強戦略の象徴だ」と指摘した。 わずか260万ポンド(約4億円)でブライトンに加入し、退団する際には間違いなく多額の利益をクラブにもたらすことは間違いないアタッカーを輩出した日本のサッカー界については「成長を続けており、サッカーのエリートとみなされてきた国とのクオリティーの差を縮めている」と評価した上で、同メディアはすでに“見つかった”三笘ではなく、彼のような「掘り出し物」をリバプールがこのアジアの“日出る国”から探し出すことに期待している。
  その候補のひとりとして同メディアが挙げたのは、「三笘と同様にプロ契約を結ぶ代わりに大学進学を選んだ」20歳の明治大学のウィンガー、熊取谷一星(くまとりや・いっせい)。彼がU-20日本代表の常連で、U-20アジアカップ予選4試合で2得点3アシストを記録した他、昨年11月にはU-20スペイン代表戦でゴール(決勝点)を決めて勝利に貢献したことなどのプロフィールを紹介した。

「リバプールは大学出身の最新の日本人スター選手を見つけたかもしれない」として、その成長ぶりを監視するよう訴えた同メディアは、記事を「おそらく、南野の後にリバプールのユニホームを着る日本人選手は、クロップにとっての『次の香川真司』になる」との一文で締めている。

 三笘のブレイクにより、日本の大学生選手が欧州などから一躍関心を集めるようになったがゆえの記事と言えるだろうが、我が国の若き才能ある選手にとっては、サッカーのトップシーンとの距離がより縮まったのは確かのようであり、今後、この世代の“移籍市場”が脚光を浴びる時が来るかもしれない。

構成●THE DIGEST編集部
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