ロサンゼルス・クリッパーズ在籍4年目を迎えた今シーズン。ポール・ジョージはここまで47試合に出場して平均34.4分、23.5点、6.1リバウンド、5.2アシスト、1.47スティールとオールラウンドな成績を残し、2月には2年ぶり8度目のオールスターにも選ばれた。

 現在32歳のジョージは、2010年にデビューしたインディアナ・ペイサーズでローテーションプレーヤーからスターター、そしてエースへと成長。プレーオフではレブロン・ジェームズ(当時マイアミ・ヒート/現ロサンゼルス・レイカーズ)と3年連続でNBAファイナル進出を競い合った。

 17年にオクラホマシティ・サンダーへトレード後は、ラッセル・ウエストブルックと強力デュオを形成し、2018−19シーズンにはキャリアハイの平均28.0点、8.2リバウンドに4.1アシスト、リーグ最多の2.21スティールをマークして、オールNBAとオールディフェンシブの両1stチームに名を連ねた。

 19年夏にクリッパーズへ移籍後は、2度の優勝を誇るカワイ・レナードとタッグを組み、21年のプレーオフではフランチャイズ史上初のカンファレンス・ファイナル進出に貢献。2枚看板が健康体を取り戻した今季は、球団史上初のファイナル進出、そしてチャンピオンシップ獲得をゴールに掲げている。
  現地時間3月1日、元選手のJJ・レディックがホストを務めるポッドキャスト番組『The Old Man and the Three』で、ジョージは自身をエースではなく、“チームプレーヤー”として見ていると語った。

「最高のレベルで勝つために、俺は自分に正直でなければならない。俺が単独エースだとは思わない。高いレベルで得点を取れるし、試合を支配することだってできる。けど、チャンピオンシップを勝ち取りたいなら、自分の役割はそこではないと思うんだ」

 リーグ屈指のウイングプレーヤーは、1試合30点を稼ぐことができる非凡な得点力に加え、プレーメーキングもこなせる多彩なスキルを持つ。だが、昨年10月には「(このチームでは)カワイがナンバー1だ。俺はそれで全く問題ない。自分は彼を補完し、彼の負担を軽減できるようにしていく」と口にしており、こうも話していた。「誰もが俺たちについてこう言う。『カワイとお前がナンバー1だ』とね。けど俺はハッキリと言っておく。自分は2番手なんだ。カワイが1番手で俺は2番手。俺たちは(何か問題が生じる前に)芽を摘み取ったんだ。そこにエゴなんてないのさ」

 ジョージが全幅の信頼を寄せる1歳下のレナードは、これまで2球団でファイナルMVPに輝き、故障で全休明けの今季も平均23.0点、6.1リバウンド、4.0アシスト、1.38スティールを記録。シーズン序盤は試運転が続いたが、1月は平均27.7点、2月も27.0点と調子を上げている。

「俺は(自分の役割について)学んだのさ。2番手になって、オフボールでベストなプレーをしてきた。2番手としてラスと一緒にプレーしたことで、キャリアベストのシーズンを送ったんだ」

 ジョージは自身がファーストオプションになることにこだわりはなく、「バスケットボールでエゴなんてない。俺はただ勝ちたいだけなんだ」と続けていた。
  クリッパーズはオールスター明けからウエストブルックが先発ラインナップに加入。平均16.0点、5.7リバウンド、9.3アシスト、2.33スティールに加え、フィールドゴール成功率52.9%、3ポイント成功率44.4%とショットも好調だ。その間チームは3連敗を喫しているものの、元MVPはスムーズに溶け込んでいる。

 稀に見る大混戦となっているウエスタン・カンファレンスで、クリッパーズは現在33勝31敗(勝率51.6%)で6位。プレーオフ出場を確実にするため、なんとしてでも白星が欲しい状況だ。

 次戦2日にはゲーム差なしで5位にいるゴールデンステイト・ウォリアーズ(32勝30敗/勝率51.6%)、翌3日には36勝25敗(同59.0%)で3位のサクラメント・キングスとのアウェー2連戦が控える。決して簡単な道のりではないものの、ジョージ、レナード、ウエストブルックの“新ビッグ3”の力で、勝利を掴みたいところだ。

文●秋山裕之(フリーライター)