「AT04の力を最大限に引き出した」バーレーンGPの角田裕毅に各国メディアは軒並み高採点&賛辞! チーム内対決に完勝したことへの言及も
彼が駆る「AT04」はフリー走行などで速さに欠けると見られていたが、角田は予選でQ1突破を果たす好パフォーマンスを見せ、苦戦が予想された決勝でも、粘り強いドライビングで順位を上げ、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)やアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)との争いを繰り広げて、終盤にはアルボンに迫って熾烈なポイント圏内争いを展開した。
【動画】角田裕毅、冷静なライン取りで鮮やかなオーバーテイク! バーレーンGPのハイライトをチェック 残念ながら3年連続での入賞を果たすことはできなかったが、角田自身は悔しさをにじませながらも、ある程度の満足感を示し、チームもフランツ・トスト代表らがカーナンバー22の走りを称賛。そして、各国のメディアも軒並み、日本人ドライバーをポジティブに評価している。
英国のモータースポーツ専門サイト『MOTORSPORT WEEK』は10点満点の採点で及第点以上の「7.5」を与え、「パフォーマンスの低いAT04で驚異的な働きを見せてQ2に進出し、新しいチームメイトのニック・デ・フリースを0.7秒差で打ち負かした。ここでタイヤを使い果たしたことで、Q3に進むチャンスは失われた。F1での3年目を迎えた日本人ドライバーは、決勝でも名誉あるパフォーマンスを披露したが、ポイントを奪取にするにはわずか1秒足りなかった」と、ポジティブに寸評を綴った。
F1専門サイトの『planetf1』も、「角田がこれほど前の高いグリッドにつけるとは、ほとんどの者が予想しなかっただろう。過度に注目に値するパフォーマンスではなかったとはいえ、それは力強かった。終盤、ジョウ・グァンユ(アルファロメオ)、・デ・フリースを見事に追い抜いたが、ポイント獲得を目前にして、アルボンとの差を詰めることはできなかった」と好意的で、こちらも採点は「7.5」となっている。
『TOTAL-MOTORSPORT』と『CRASH』は、ともに採点は「7」で、前者は「デ・フリースに対して明らかに優位性を持っていた。バーレーンでは過去に好成績を収めており、今週末も再びその良さを示した」、後者は「フリー走行で最も遅かった車のせいで、あと一方のところでポイントを逃したことは悔しかっただろうが、週末を通して角田は堅実なドライビングを見せ、新しいチームメイトに対しても余裕を持って優位性を保った」と、それぞれ高評価を下した。
スポーツ専門サイト『sportskeeda』の寸評は、「角田にとってバーレーンでの週末は、2023年の良いスタートとなった。予選ではQ2進出という素晴らしい仕事を果たし、最終的にアルボンには届かなかったものの、ほとんどポイント獲得というところまで迫った」という今後への期待を寄せる内容となり、採点は「7.5」を与えている。
スペインのF1専門サイト『F1i.com』は、採点を「7」とし、寸評は「チーム売却の噂が流れて、アルファタウリに倦怠感が漂っている中、チームの責任を背負うことになった角田は、2年のキャリアで大幅に成長し、デ・フリースを全てのセッションで上回った。決勝では、最後にアルボンに追いつき、もう少しでポイントを獲得するところまで迫った。もしそうなっていたら、我々は角田にもっと高い評価を与えただろう」と、ポジティブな内容に終始した。
最も高い採点「8.5」を与えたのは、オランダのF1専門サイト『GPBLOG』で、その寸評も「AT04のような扱いにくい車で、ポイントまでもう一歩のところまで迫ったのは、非常に巧みだった。日本人ドライバーはまた、ジョウとデ・フリースを同時に抜き去るという見事な動きを見せた」と、具体的な場面にも言及している。
国際的なスポーツ専門サイト『VAVEL』は、チーム単位で「5」というやや厳しめの評価を下した後、両ドライバーには角田に及第点の「6」、デ・フリースに「5」という採点を与え、寸評では以下のように、チームとしての問題点を挙げるとともに、今後への不安も明かした。
「イタリアのチームは、安定したパフォーマンスを見せたが、戦略がもう少ししっかりしていれば、おそらく両ドライバーともに順位を上げられただろう。バーチャルセーフティカーの間、彼らは角田のみをピットインさせ、ユーズドタイヤでペースに苦しんでいたデ・フリースをステイさせた。それでも、両ドライバーは予選から順位を上げたが(デ・フリースは19番手から14位)、これが今季のアルファタウリの、レベルの最高点になるのではないかと心配している」
最後に、採点ではなく順位で評価したのが英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』 で、角田をルイス・ハミルトン(メルセデス)よりひとつ上の「7位」にランクインさせ、「チームメイトよりもAT04の限界を突き詰め、予選Q1では8番目に速いタイムを記録する素晴らしいラップ。Q2で新しいタイヤを用意できれば、Q3入りも可能だったかもしれない」と予選を評した後、決勝についてもそのパフォーマンスを好意的に振り返っている。
「決勝では第1スティントでニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)をかわし、その後、早めにピットインで11番手に浮上。2回目のピットストップでは残念ながら、ガスリーにアンダーカットされた。以降、ガスリーとアルボンの背後に留まり続けたが、ポイント獲得には十分ではなかった。ただ、AT04のペースを考えると、ポイント圏内からわずかひとつ後ろの順位でレースを終えたことは、素晴らしい仕事であり、車の力を最大限に引き出した」
構成●THE DIGEST編集部
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