現地時間3月13日、ゴールデンステイト・ウォリアーズは、ホームのチェイス・センターでフェニックス・サンズと対戦した。

 この日を迎えた時点で、サンズはウエスタン・カンファレンス4位の37勝30敗(勝率55.2%)で、ウォリアーズは6位の35勝33敗(勝率51.5%)。王者ウォリアーズにとってはプレーオフに向けてなんとしてでも勝利しておきたい試合だった。

「我々はどれほど重要な試合かを理解していた。クレイ(トンプソン)もそれを十分理解していて、チームに雰囲気を作り出してくれた」とスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)が試合後に振り返ったとおり、ウォリアーズは前半で75−58と突き放し、最終スコア123−112でサンズを一蹴した。

 ウォリアーズはトンプソンがゲームハイの38得点(前半で33得点)に5リバウンド、ステフィン・カリーが23得点、7リバウンド、5アシスト、ジョーダン・プールが20得点、6アシスト、ドンテ・ディヴィンチェンゾが10得点、3アシスト、ケボン・ルーニーが10リバウンド、5アシストを残して勝利に貢献した。
  敗れたサンズではデビン・ブッカーが32得点、4リバウンド、2スティール、ディアンドレ・エイトンが27得点、12リバウンド、クリス・ポールが11得点、5リバウンド、11アシスト、ジョシュ・オコギーが11得点を残すも、一度もリードを奪えずに完敗。

 13日終了時点で、37勝31敗(勝率54.4%)のサンズがウエスト4位、36勝33敗(勝率52.2%)のウォリアーズが5位。もしこの順位のままレギュラーシーズンを終えると、両チームはプレーオフのファーストラウンドで対戦することになる。

 もっとも、サンズはケビン・デュラントが左足首捻挫、ウォリアーズはアンドリュー・ウィギンズが家族の事情のためこの試合を欠場しており、ベストメンバーとは言えない布陣だった。

 特にデュラントにとって、ウォリアーズは2016−17シーズンから3シーズンプレーした古巣であり、17、18年の連覇達成時にはファイナルMVPに輝いている。

 19年夏にサイン&トレードでブルックリン・ネッツへ移籍してから3年半が経過したものの、実はデュラントがチェイス・センターでウォリアーズファンの前でプレーした機会は1度もない。

 ネッツはイースタン・カンファレンス所属のため、ウエストのチームと対戦するのは年に2度、敵地でプレーするのは1度しかない。デュラントは19−20シーズンをアキレス腱断裂のため全休。20−21シーズンに復帰し、21年2月13日にチェイス・センターのコートに立ったが、当時は新型コロナウイルスのパンデミックのため無観客での開催だった。
  その後、デュラントは22年1月29日、今年1月22日のアウェーゲームをケガで欠場し、ウォリアーズファンの前でプレーする機会はまたもお預けに

 これにはカーHCも「そんな馬鹿な。正気じゃないね。しばらく経ったというのに。あれから何年? 4年か?」と口にし、さらにこう続けていた。

「我々は彼が(対戦相手として)帰ってくることをいつも期待していた。このフランチャイズで彼がやってくれたことに感謝すべく“Welcome back”ビデオも計画していたんだ」

 在籍は3シーズンと短かったが、デュラントは平均25.8点、7.1リバウンド、5.4アシスト、1.5ブロックにフィールドゴール成功率52.4%と好成績を残しており、カリーやトンプソン、ドレイモンド・グリーンとともにビッグ4を形成して数多くの勝利を掴んできた。

 カーHCはデュラントがネッツの一員として無観客試合に凱旋したことを覚えているものの、やはりファンの前でデュラントがプレーすることを望んでいた。
 「残念だね。我々のファンは彼に対して多大な愛情と拍手喝采、エナジーを与えたいと思う。彼がこのチームのためにやってきたことは、それに十分値することだから」

 デュラントがサンズへ移籍したことで、ウエストのチーム同士として、来季以降は対戦する試合数が増えることは事実。今季この2チームはレギュラーシーズンの対戦日程を終えているが、前述のように現順位でシーズンを終えた場合、プレーオフ1回戦で両チームは激突する。

 ウエストは依然として団子レースとなっており、1試合ごとの勝敗で順位が入れ替わる状況だが、今年のポストシーズンでウォリアーズとサンズの対決が実現すれば、盛り上がること間違いなしだ。

文●秋山裕之(フリーライター)