F1第2戦サウジアラビア・グランプリが今週末に開幕するが、これに先立ってアルファタウリの角田裕毅が、チームの公式サイトを通して意気込みなどを語っている。

 バーレーンでの開幕戦では、予選Q1突破や決勝での粘り強いドライビングが各国メディアから高評価を得る一方で、新型マシン「AT04」のスピード&グリップ不足が明らかとなり、アレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)の背後につけながら入賞を逃してフラストレーションを溜めた角田が、チームに対して早期でのアップデートを求めたものである。

【動画】角田裕毅、冷静なライン取りで鮮やかなオーバーテイク! バーレーンGPのハイライトをチェック 新たなチームメイトであるニック・デ・フリースにも各セッションで上回り、ドライバーとしての能力は十分に示した角田は、まず初戦を振り返って、「中団争いで上位を目指しているにもかかわらず、我々の開幕戦でのパフォーマンスが、望んでいた位置からかなり遠いところにあったのは明らかです」と語り、以下のように続けた。

「我々は、もっと多くのパフォーマンスを車から引き出す必要があります。金曜日から日曜日にかけて我々が前進した結果、予選でQ2に進出できましたが、Q3に進出するにはペースも一貫性も十分ではありませんでした。昨季、我々はウィリアムズとコンストラクターズランキングの9、10位を争いましたが、これは今季、車と僕自身の改善に集中する必要があることを意味し、車からできるだけ多くのパフォーマンスを引き出さなければなりませんが、バーレーンでの日曜日はそれができたと言えます」

 こうして、問題を抱えながら迎える、同じく中東でのレースについては「サウジでの週末で苦労する部分は承知していますが、バーレーンの時よりは良くなるとの希望を持っています。可能な限り有用なフィードバックをチームに提供できるよう自分をプッシュした上で、どうなるか見ていきたいと思います。サウジの高速コースは、我々のパッケージにより適していると思うので、ベストを尽くします」と、ポジティブな展望も示している。

 また、バーレーンGPの後にピレリのタイヤテストで走行を重ねられたことも、彼にとっては非常に有益だったことを強調。「シーズン末のテストより、序盤に行なうものの方がメリットは大きいです。ドライバーの立場からも、シーズン序盤に多く走れることで、車やセットアップについてより理解するチャンスが得られます。実際、多くの走行を重ねられたし、1日中全開で走行できました!」と明かした。

 最後に、サウジ・ジッダの市街地コースについて「昨季のサウジでの週末は、全く上手くいきませんでした。様々な技術的な問題があって、土曜日は走れず、日曜日もレースにも出ることができませんでした。コースについては、走っていて楽しいです。とりわけセクター1は高速のS字コーナーがあり、これは他のコースにはないものです。昨季は残念な結果に終わりました。2021年は予選8番手とかなり楽しんだだけに、とても悔しかったです」と過去のレースを回想した後、再度ポジティブな点を挙げて今季に期待を寄せている。

「今季の車に対する信頼性は、これまでのところは良好です。合同テストやバーレーンでの開幕戦では大きな問題もなかったので、今季は金曜から日曜までの全セッションを走り切ることができると確信していますし、楽しみにしています」
  英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、サウジGPでの興味の焦点のひとつとして、「中団の下の争いをリードするチームはどこか?」を挙げており、開幕戦を終えた段階の評価として、条件が同じであれば、レッドブル、フェラーリ、アストンマーティン、メルセデス、アルピーヌが予選Q3突破の候補であると指摘し、これにどのチームが続くかに注目している。
 
 角田については、「Q1でアルファタウリをトップ10のレベルに引き上げたが、Q3に挑戦するための新しいソフトタイヤは残っていなかった」とバーレーンGPを振り返った同メディアは、アルファタウリ、ウィリアムズ、マクラーレン、アルファロメオ、ハースについて「これらのチームの差は小さく、全て非常に近いところにある」と見ており、「ジッダでは速さのランキングが示されるだろう」と、今週末で現時点での序列が見えると予想する。

 アルファタウリといえば、レッドブルのヘルムート・マルコ顧問がドイツのF1専門サイト『Formel1.de』で、改めてチームの売却を否定したものの、一方でこのイタリアのチームが大きな経済的負担となっていることを認め、また昨季の成績に満足していないことを明かした上で、今季は「少なくとも7位。良ければ5位」という成績を求めた。

 現時点でのAT04の状況を考えれば、これは極めて難しい課題だが、アルファタウリがこれをクリアすることは可能だろうか。そして、その成否の鍵を握る存在のひとりが、角田であることは間違いないだろう。その意味でも、ジッダで彼がどのようなパフォーマンスを発揮できるか、非常に興味深いところだ。

構成●THE DIGEST編集部
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