マブズ戦で起こった“珍事”に反響続々。ウォリアーズ指揮官「今年最高のプレー」、カリーは「最も楽な2点だった」<DUNKSHOOT>
マブズは今季平均27.4点を記録するカイリー・アービングが右足の痛みにより欠場するなか、ルカ・ドンチッチが左太ももの張りから6試合ぶりに復帰してゲームハイの30得点、7リバウンドに17アシストをマーク。24歳のスーパースターは今季41回目の30得点超えとなり、1983−84シーズンのマーク・アグワイアの40回を抜き、フランチャイズ史上最多記録を塗り替えた。
マブズはほかにも、控えのジェイデン・ハーディーが27得点、5リバウンド、クリスチャン・ウッドが19得点、4アシスト、レジー・ブロックが15得点、ドワイト・パウエルが13得点、ジョシュ・グリーンが12得点を記録。しかし、最終的に125−127で接戦を落とし2連敗となった。
「ムードは良くないね。それは間違いない。毎回、負けるのは残念だ。僕らは次に向けてフォーカスしなきゃいけない。勝利することに集中していかなきゃいけない」
試合後にそう振り返ったのはドンチッチ。マブズは第4クォーター残り8.5秒でステフィン・カリーにレイアップを許して3点ビハインドになると、タイムアウト明けにドンチッチがリング下でボールを受けるも、ドレイモンド・グリーンの堅守の前にシュートを決めることができなかった。
一方、接戦を制したウォリアーズは、ベンチスタートのジョナサン・クミンガがチームトップの22得点に2スティール、カリーが20得点、5リバウンド、13アシスト、ジョーダン・プールが16得点、6アシスト、グリーンが14得点、8アシスト、3スティール、4ブロック、ドンテ・ディヴィンチェンゾが14得点、ケボン・ルーニーが12得点、12リバウンドを記録。
「今の我々は絶好調だ」とスティーブ・カーHC(ヘッドコーチ)が試合後に話した通り、ウォリアーズは今季2度目のアウェー2連勝。「我々はこの2試合で勝たなきゃいけないと分かっていた。タフな試合を乗り越えたんだ」と満足気に語った。
これでウォリアーズはウエスタン・カンファレンス6位の38勝36敗(勝率51.4%)とし、マブズは36勝37敗(勝率49.3%)で8位となった。 ちなみに、この試合で最も注目を浴びたのは後半のある1プレーだった。
第3クォーター残り1分59秒、ウォリアーズのルーニーがオフェンシブ・リバウンドを奪った直後にマブズがタイムアウトをコール。その後のプレーでウォリアーズのポゼッションなのにも関わらず、なぜかマブズの選手たちは反対側のコートへ陣取ってしまい、プールのスローインからルーニーがドフリーでダンクするという珍事が起こった。
これにはカーHCも「No.1だ。私にとって今年最高のATO(After Time Out/タイムアウト明けのプレー)だった。本当に上手くいったよ。我々はまとまり、相手を困惑させた」とジョーク交じりに振り返り、さらにこのように続けた。
「反対側に彼ら(マブズの選手たち)がいるのを見た時、プレーを止めて『待てよ。こっちは自分たちのバスケットか?』と考えるべきだったのかもしれない。私はベースラインからのアウト・オブ・バウンズ(のプレー)をデザインしていたんだ。
我々のボールであることは明確に理解していた。だからこそ、私はベースラインからのプレーをデザインしていた。でも相手は反対側に陣取っていた。おそらく彼らは自分たちのボールだと思い込んでいたんだろうね」
通常、タイムアウトは、相手チームに速攻や流れが変わるようなプレーを決められた後に取ることが多い。そういった場合は自チームのポゼッションでタイムアウト明けのプレーが展開されるが、今回はウォリアーズがポゼッションを手にしていた時にマブズがタイムアウトを取っていたため、当然ウォリアーズのボールで再開された。
「何がどうなっているのか分からなかった。チームの全員がオープンになっていたなか、JP(プール)が僕にパスしてくれたことに感謝だよ。ダブルダブルを必要としていたから、彼に感謝さ」とルーニーが語れば、ベンチにいたカリーも「おかしかった」とそのプレーを振り返る。
「明らかにルーン(ルーニー)はちょっと混乱していた。彼はタイムアウトの笛を聞いていなかったんだ。でもその後、自分たちのボールだったのは明白だった。たぶん、ルーンにとっては最も楽な2点であり、JPにとってもこれまでで最高にイージーなアシストになったね。おかしかったけど、僕らからすれば(自分たちのボールなのは)明らかだった」
冒頭に記したように、試合はマブズが2点差で惜敗(終了間際にレジー・ブロックが3ポイントを決めている)。結果論ではあるものの、もしあの場面でマブズがディフェンスをして、ウォリアーズを抑えていれば、勝敗は違うものになっていたかもしれない。
文●秋山裕之(フリーライター)