「彼自身にとっては良いスタート」 角田裕毅の開幕2戦のパフォーマンスを英専門サイトが高評価! 同僚に連勝も「大きなプラスだ」
【動画】激しいタイムアタック! 角田裕毅、第2戦の予選は惜しくもQ1敗退… 開幕戦のバーレーン・グランプリでは、非力な新型車「AT04」の力を十二分に引き出して14番グリッドから徐々に順位を上げ、終盤には10番目のアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)に肉迫するも、ストレートでの速さで勝る相手を抜くことはできず、1秒差でポイントを逃した。
続くサウジアラビアGPは、さらにフラストレーションの溜まる展開となり、16番手からのスタートとなるも、戦略が当たって一時は8番手を走行。アルピーヌ勢に抜かれた後、ケビン・マグヌッセン(ハース)相手に抵抗を見せたが、残念ながらポイント圏内を守り切ることはできず、2戦連続で11位フィニッシュとなった。
角田は「全ての力を尽くせたし、車の力を可能な限り引き出した」「エンジニアやメカニックはとても良い仕事をしてくれた」とある程度の満足感を示しながらも、2戦を終えてノーポイントはF1でのキャリア初のことであり、それも僅差での取り逃がしということで、「チーム全員にとってのフラストレーションとなった」と悔しさを隠さず、また「毎周で少なくともコンマ数秒を削ることが必要」と指摘している。
ただ、必死に力を尽くしている日本人ドライバーについて、海外メディアは2レースともに軒並み高評価を下しており、英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は「このポイントレスは彼のキャリアを救うかもしれない」と題した記事で、「角田にとって重要なシーズンにおけるパフォーマンスは、AT04のそれを差し引けば、非常にポジティブなものに感じられる」と綴った。
「22 歳の彼は今季、 いずれも11位でレースを終えており、過去18戦を振り返るとわずか1回(昨季のアメリカGPで10位)しかポイント圏内でのフィニッシュを決めていない。 しかし、彼が今季2度の週末で、チーム代表のフランツ・トストが激しく批判した車を駆ってトップ10に近づいたという事実は、彼自身にとってはシーズンの良いスタートとなったことを表わしている」
前出の英専門サイト『THE RACE』はまた、「チームメイトのニック・デ・フリースは通常のF1ルーキーに比べてより戦闘力の高いルーキーだが、バーレーンとサウジの両方で彼を上回ったことは、角田にとっては大きなプラスだ」と、F1での経験の長さをドライビングと結果でもって示したことの重要性を強調している。
角田の「少なくとも僕自身の可能性やパフォーマンスは示すことができました。それが最も重要なことです。このまま戦っていれば、いつかチャンスは来ます。その時、それを最大限に活かさなければなりません。僕はこの車から、可能な限りパフォーマンスを引き出します」とのコメントを紹介した同メディアは、レース運びについても賛辞を贈った。
「しっかりとマネジメントされたレースだったことも、角田にとっては心強い。 チームはこれまで、一貫性に欠けるとはいえ、彼が驚異的なペースを持っていることを認識しており、ゆえにレース運びの改善を角田に求めていたが、今季最初の2つのレースウィークエンドでそれを上手くやった」
トスト代表はシーズン開幕前、角田に対して「コンスタントに予選Q3に進出し、ポイントを獲得する必要がある。彼は熟練したドライバーであり、F1で2年の経験を積んだ。だから、昨季より多くのポイントを得なければならない」と課題を提示したが、同メディアは「車の競争力を考えれば、それは非現実的な目標」と指摘する。
しかし、同時に「角田は2レースでポイント獲得に迫り、より強力なドライバーとなった。この重要なシーズンで、控えめではあるが、力強いスタートを切った」と日本人ドライバーを称賛し、彼の前述のコメントを引用して「チームが彼に『コンマ数秒』の速さを与えることができれば、ポイント獲得は彼に相応しいタスクとなる」と記事を締めている。
開発で出遅れたアルファタウリは、今週末の第3戦オーストラリアGPから空力面のアップデートを施すことを明かしており、これが角田らドライバーのパフォーマンスと結果に好影響を与えることができるだろうか。F1の勢力図に変化が生じるかどうか、期待をもって注目したい。
構成●THE DIGEST編集部
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