GⅠレベルの能力を有する7歳ヒシイグアスが載冠に近い!? 騎手リーディングトップ川田将雅を確保した池江厩舎の意気込みも買い【大阪杯】
この路線では、イクイノックス(牡4歳/美浦・木村哲也厩舎)はドバイシーマクラシック(GⅠ、メイダン・芝2410m)で圧勝を飾り、パンサラッサ(牡6歳/栗東・矢作芳人厩舎)もドバイワールドカップ(GⅠ、メイダン・ダート2000m)に、出走取消となったがドウデュース(牡4歳/栗東・友道康夫厩舎)もドバイへと向かった。
そのため、実力上位の2頭を欠いた今年の大阪杯。ややレベルが下がるのはやむを得ないが、一方で馬券的な興味は大きく膨らんだ。
人気は、武豊騎手への乗り替わりが注目されるジャックドール(牡5歳/栗東・藤岡健一厩舎)、昨春の牝馬クラシック二冠を制したスターズオンアース(牝4歳/美浦・高柳瑞樹厩舎)、父モーリス×母ジェンティルドンナという超良血が開花した印象のジェラルディーナ(牝5歳/栗東・斉藤崇史厩舎)、稍重の日経新春杯(GⅡ、中京・芝2200m)で59kgを背負って勝ち切ったヴェルトライゼンデ(牡6歳/栗東・池江泰寿厩舎)あたりに集まるだろう。
しかし、本稿ではあえてこれらの有力馬たちに続く存在であるヒシイグアス(牡7歳/美浦・堀宣行厩舎)を主力視したい。
ヒシイグアスは7歳のベテラン馬ではあるが、後肢に疲労が溜まりやすいウィークポイントがあるため休み休みに使われてきたため、まだ16戦しかしておらず、戦績は〔7・5・0・4〕で、3歳時のラジオNIKKEI賞(9着)以外はすべて5着以内と秀逸だ。
勝利こそないが、2021年の香港カップ(GⅠ、シャティン・芝2000m)で2着に食い込んだ経験を持つほか、昨年の宝塚記念(GⅠ、阪神・芝2200m)でもタイトルホルダーの2着に健闘している。GⅠレベルのポテンシャルの持ち主であることは疑いもない。
宝塚記念後は熱中症にかかったため、約8カ月を休養と調整に充てた。そして復帰戦となった今年2月の中山記念(GⅡ、中山・芝1800m)を快勝。その後も美浦トレセンに在厩しての調整が続けられた。約1カ月の間隔でレースを使われるのは順調さの証。ちなみに、これまでの“叩き2戦目”の成績は〔1・2・0・0〕と連対を外していないのも大きな強みだ。
実力馬の順調さ、勝率をはじめとした数値で高いレベルを維持し続ける“厩舎力”、近年そのトップステーブルとの結び付きを強めているリーディング5位の松山弘平騎手(3月31日終了時)。これらのストロングポイントも踏まえて、本馬を“主軸”として指名したい。 対抗としたいのは2頭だ。まずヴェルトライゼンデは、前走の日経新春杯はもちろん、昨年のジャパンカップ(GⅠ、東京・芝2400m)で勝ち馬と0秒1差の3着に食い込んだ底力を改めて見直したいところ。鞍上にリーディングトップの川田将雅騎手を確保した陣営の意気込みも買いたい。
2頭目はジャックドール。昨年の札幌記念(GⅡ、札幌・芝2000m)ではパンサラッサをクビ差抑えて優勝した力量は確か。天皇賞・秋(GⅠ、東京・芝2000m)は4着ながら、勝ったイクイノックスとの差は0秒3差しかなかった。ちなみに、本馬の休養明け実績は〔3・0・0・0〕とパーフェクト。自在性に富んだジャックドールだけに、名手・武豊騎手の手綱さばきにも注目だ。
連下の候補としては、脚部不安による休養明けという要素が気になる牝馬2冠のスターズオンアースをはじめ、暮れの有馬記念(GⅠ、中山・芝2500m)で3着に入り牡馬と互角に戦ったジェラルディーナをまず押さえておきたい。
他では昨年の本レースを制したポタジェ(牡6歳/栗東・友道康夫厩舎)に敬意を表し、阪神コースの実績が〔1・1・1・0〕と秀逸なダノンザキッド(牡5歳/栗東・安田隆行厩舎)も挙げておく。
最後に“一発”狙いとしてマークしたいのがマテンロウレオ(牡4歳/栗東・昆貢厩舎)。前走の京都記念(GⅡ、阪神・芝2200m)では勝ったドウデュースに離されながらも2着を確保。〔2・1・0・0〕と得意な阪神コースを舞台に、昆貢厩舎−横山典弘騎手の強い絆を持ってどこまで上位陣に迫れるか。大いに期待したい。
文●三好達彦
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