現地時間5月2日(日本時間3日)、NBAは2022−23シーズンの最優秀選手賞(MVP)に、フィラデルフィア・セブンティシクサーズのジョエル・エンビードが選ばれたことを発表した。

 最優秀守備選手賞(DPOY)や最優秀躍進選手賞(MIP)、今季から新設された最優秀クラッチプレーヤー賞など、NBAには複数のアウォードがあるが、最も栄誉ある賞はそのシーズンを象徴する選手に与えられるMVPだろう。

 最終候補には昨季と同様にミルウォーキー・バックスのヤニス・アデトクンボ、エンビード、デンバー・ナゲッツのニコラ・ヨキッチが名を連ねていたが、73の1位票を集め、計915ポイントを獲得したエンビードが初選出となった。

 100名のスポーツライターと放送関係者による投票で、1位票が10ポイント、2位票が7ポイント、3位票が5ポイント、4位票が3ポイント、5位票は1ポイントが換算される。2位には1位票15を含む計674ポイントのヨキッチ、3位には1位票12を含む計606ポイントのアデトクンボ、4位には計280ポイントでボストン・セルティックスのジェイソン・テイタムが入るも、1位票、さらには2位票を獲得したのは最終候補に入った3選手のみだった。
  アデトクンボは2020年以来3度目、ヨキッチは1984〜86年のラリー・バード(元セルティックス)に次ぐ史上4人目の3年連続受賞という偉業が期待されていたなか、過去2シーズン連続でヨキッチに次ぐ2位だったエンビードが制した。

 なお、シクサーズの選手でMVPに輝いたのはウィルト・チェンバレン(1966〜68)、ジュリアス・アービング(1980−81シーズン)、モーゼス・マローン(82−83シーズン)、アレン・アイバーソン(2000−01シーズン)以来、史上5人目の快挙。

 今季のエンビードは、66試合の出場で2年連続リーグトップとなる平均33.1点に10.2リバウンド、4.2アシスト、1.0スティール、1.70ブロック、フィールドゴール成功率54.8%、フリースロー成功率85.7%をマーク。11月13日のユタ・ジャズ戦での59得点を筆頭に、13試合で40得点以上を叩き出した。

 エンビードはプレーオフが行なわれているボストンで、チームメイトとともに受賞を知らされると、同僚からMVPコールで祝福され、自身は手で顔を覆い涙を流していた。

 シクサーズでアービングを除く3選手は、MVP受賞シーズンにチームをファイナル(チェンバレンは67年)に導き、チェンバレンとマローンは優勝を果たしている。キャリアの全盛期にある29歳のエンビードは彼らに続くことができるか注目だ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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