2008年のプロデビュー以降、バルセロナの中盤の底に君臨し続け、ビッグタイトル総なめの輝かしい黄金時代の創成に大貢献したセルヒオ・ブスケッツの、今季限りでの退団が発表された。

【動画】バルサの心臓、ブスケッツのプレー集 バルセロナではここまで、リオネル・メッシ、現監督のシャビに次ぐ歴代3位となる719試合に出場。このクラブでのタイトル獲得数はここまで31だが、今季は自身9度目のラ・リーガ制覇が目前に近づいており、32個はアンドレス・イニエスタと並んで、メッシの35個に次ぐ歴代2番目の多さとなる。

 まさにクラブ史に残るレジェンドのひとりである34歳は、「忘れられない道のりだった」
「世界最高のクラブで15シーズンを過ごすとは、誰に予想できただろう。我が人生のクラブ、今もこれからもファンであり続けるだろうクラブで、選手、さらにキャプテンとして700試合以上に出場できるとは……。これだけ長い間、このエンブレムを守り、代表してきたことは名誉であり、夢であり、誇らしいことだった」「バルサの人間である以上のことなど存在しない」と、クラブへの想いを語るとともに、ファンらに感謝の言葉を贈った。

 これに対してサッカー界も反応し、現在はパリ・サンジェルマンでプレーする盟友メッシは、SNSに「ブシ(ブスケッツの愛称)、ピッチ上ではいつも5番(ピボーテ)の役割を担ったが、実際は選手としても人間としても、君は10番だった。(中略)一緒に過ごした多くの時間、良いことも、困難なことも多くあったが、それらは永遠に残っていく」と温かいメッセージを投稿している。

 同じ現在はパリSGで、バルサ時代に共闘したネイマールも「ブシの全てに祝福を。美しい時間を君と共有できたことを嬉しく思う。君はあまりに偉大な存在だった」と賛辞を贈り、さらに宿敵レアル・マドリーのMFで、ブスケッツと激しく競り合い続けたルカ・モドリッチも「僕が対戦した中で、最も優れたMFのひとりだ。(対戦できたことは)喜びだった」とライバルとの良き思い出を振り返った。
  そして各国のメディアも、バルサにおけるブスケッツの功績を称賛し、英国の日刊紙『The Guardian』は「彼は、守ることをしない守備的MFだった。タックルばかりしていたわけではなく、前に出ることを好んだ。優れたアスリートというわけではなく、途方もない距離を高速で走り回ったりもしなかった。しかし、彼はどんな状況にも対応できた。ブスケッツは(プレーがどうなるかを)知っていた。彼は全てを見通していた」と、そのインテリジェンス溢れるプレーに言及している。
  また同メディアは、「彼は世界最高のMFであり、歴史上最高のピボーテだ」(シャビ)、「もし今、選手になれるなら、ブスケッツのようになりたい」(ビセンテ・デル・ボスケ)、「天からの贈り物」(ヨハン・クライフ)、「かけがえのない存在」(ジョセップ・グアルディオラ)といった過去にブスケッツに寄せられた関係者の賛辞や、またメッシがバルサで初めてブスケッツと練習した際、すぐにグアルディオラ(当時監督)に対して「彼はやれる」と太鼓判を押したというエピソードなども紹介した。

 一方、ブスケッツの後継者問題にも各メディアは関心を寄せており、財政面で大きな問題を抱えるバルサが、この大きな穴をいかにして埋めるかを予想。候補として、レアル・ソシエダのマルティン・スビメンディ(本人は否定したようだが……)、バレンシアのウーゴ・ギジャモン、フィオレンティーナのソフィアン・アムラバト、マンチェスター・シティのイルカイ・ギュンドアンらの名が挙がっているが、現有戦力の中からフレンキー・デ・ヨングやフランク・ケシエを登用するという選択肢もあるようだ。

 いずれにせよ、ブスケッツの退団により、サッカーの歴史を変えたともいわれるグアルディオラ時代の栄光のメンバーは、現役選手としては全員がチームを去ることになる。まさに一時代の終焉とも言えるが、一方で2021年に涙の会見でバルサを退団し、以降パリSGで2シーズンを過ごしているメッシの去就が現在、大きな注目を集めており、パリを去る可能性が高いとされるスーパースターが古巣に復帰するという噂も上がっている。
  メッシの古巣復帰に関しては、前述の通りバルサの財政上の事情からハードルは高いと見られるが、バルサはもちろん、メッシも扉は閉めていないとのことであり、またかつての恩師グアルディオラもスポーツ専門チャンネル『ESPN』で、「レオ(メッシ)はバルサに戻るため、あらゆる努力をすると確信している。ジョアン・ラポルタ(バルサ会長)も、それを実現させようとするだろうし、レオもそうするだろう。彼が相応しい形でバルサに別れを告げられることを願っている。そして私はスタジアムで、それを楽しみたいと思う」と古巣帰還を後押しした。
  メッシには、クリスチアーノ・ロナウド(現アル・ナスル)を招聘したことで注目を集めているサウジアラビアが関心を寄せ、同国のアル・ヒラルが年俸4億ユーロ(約580億円)以上という破格の条件を提示したと報じられているが、同時にブスケッツの新天地もアメリカ、もしくはサウジアラビアとされており、2人の共闘が中東で実現する可能性もあり、移籍市場の動向から当分目が離せない。

構成●THE DIGEST編集部
【関連記事】「哀れなヌネスを完全に打ち負かした」三笘薫、歴史的大勝劇で相手DF翻弄! 現地メディアも軒並み高評価

【関連記事】「今季最高の補強だ」久保建英、途中出場で絶大な存在感! リーグ7得点目に現地メディアは高評価「チームメイトに模範を示した」

【関連記事】驚異の黒字経営で33年ぶりのカルチョ王者に返り咲いたナポリ! CL優勝へ日本代表選手が戦力補強の有力ターゲットに!?