まさに異例の大ブーイングだった。

 現地5月15日、ロサンゼルス・エンジェルスは敵地でボルティモア・オリオールズと対戦。「3番・DH兼投手」で先発登板した大谷翔平は7回を投げて5失点を喫するも、チームが9対5で勝利したため、今季5勝目をマークした。

 圧巻だったのはこの日の大谷の打棒だ。4回表に豪快な9号3ランを放つと、シングル、3塁打と立て続けに決めて、最終打席で2塁打を打てばサイクルヒット達成という局面を迎えた。しかし、結果はレフト前ヒットでお預け。大谷本人は「(サイクルは)頭にはありましたが、そこまで意識してませんでした。なんとかコンタクトして一、二塁にできればと思っていました」と試合後に語っている。

 その大谷の第5打席で巻き起こったのが、地元ボルティモアのファンからの耳をつんざくような大ブーイングだった。米メディア『MSN』は「オオタニがサイクルヒットを達成しなかったからだ」と題して、次のようにレポートしている。
 「オリオールズのファンには敬意を表したい。彼らはチームの負けが濃厚なときでも、ゲームを楽しむことを忘れないんだ。今日の試合でオオタニは最終打席でシングルヒットに終わり、サイクルを達成できなかった。カムデン・ヤーズ(オリオールズの本拠地)の観客たちはみんな、どうしてもその瞬間を観たかったのだ。もし達成していれば、先発投手では史上初の快挙。その歴史的偉業を目撃するチャンスを逃した彼らを、誰が責められようか」

 そして『MSN』は「ブーイングの大合唱を聞きながら、オオタニは一塁上で羊のように苦笑するしかなかった」とも伝えている。

 結局、打者・大谷は5打数4安打3打点1四球の大暴れ。MLB公式サイトによると、先発投手が1試合で5回以上の出塁を果たしたケースは、実に59年ぶりだという。これもまた疑いなき金字塔である。

構成●THE DIGEST編集部

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