先日、プレーオフのカンファレンス準決勝でロサンゼルス・レイカーズに2勝4敗で敗れ、2022−23シーズンを戦い終えたゴールデンステイト・ウォリアーズ。

 連覇を目指した今季は、開幕前にジャパンゲームズでワシントン・ウィザーズとプレシーズンゲームをこなし、アメリカへ戻ったものの、練習中にドレイモンド・グリーンがジョーダン・プールへパンチを見舞う事件が勃発。その後グリーンはチームを離脱し、フロントや指揮官、主要選手たちと話し合いをする事態になった。

 その後グリーンはチームへ再合流し、開幕を迎えたが、アウェーで黒星を量産。最終的に11勝30敗と大きく負け越したほか、ステフィン・カリーが26試合、アンドリュー・ウィギンズが45試合を欠場するなど、なかなか波に乗ることができなかった。

 そうしたなか、チームはクレイ・トンプソンやグリーンといったベテラン陣、全82試合に出場したケボン・ルーニーとプールらの奮戦もあり、シーズン最後の10試合で8勝2敗と調子を上げ、ウエスタン・カンファレンス6位の44勝38敗(勝率53.7%)でプレーオフへ進出した。

 ファーストラウンドこそサクラメント・キングス相手に最終第7戦を制して4勝3敗で突破したものの、前述のようにカンファレンス・セミファイナルでレイカーズに敗退し、今季を終えていた。
  そうしたなか、5月16日(日本時間17日)にフィラデルフィア・セブンティシクサーズがドック・リバースHC(ヘッドコーチ)と決別したことを発表。ミルウォーキー・バックスのマイク・ブーデンホルザー、トロント・ラプターズのニック・ナース、フェニックス・サンズのモンティ・ウィリアムズに加え、新たにリバースもコーチ界の“FA”となった。

 これについてウォリアーズのカーHCはシーズン終了時のインタビューで「スマートフォンを毎日見ていると、将来の殿堂入りコーチたちが解任されているのが分かるよ」と漏らしていた。

 2014年から指揮を執るカーとウォリアーズの契約は残り1年だが、まずは6月末に任期満了を迎えるボブ・マイヤーズGM(ゼネラルマネージャー)の去就が先決となる。

「私の契約状況は、最優先事項ではない。ボブの契約が第一だ。何かあればチームスタッフたちへ連絡することになる。私はウォリアーズをコーチすることが大好きであり、ベイの暮らしもとても気に入っている。ここでずっと仕事ができるというのは幻想なのは分かっている。だた、私としては今の仕事を愛しているし、長い間ここでコーチをしていくことを望んでいる」(カーHC)

『ESPN』によると、マイヤーズは今後の数週間でウォリアーズという球団へ戻るかどうかを決断することになるという。

 カリー、トンプソン、グリーンというビッグ3を基盤にカーHCを招聘し、2010年代以降のNBAで大きな成功を収めてきたウォリアーズ。マイヤーズの決断次第では、来季以降に大きな変化があるかもしれない。

文●秋山裕之(フリーライター)

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