トップシードだけど“ダークホース”。レイカーズに2連勝も話題に上がらない状況にマレーは「僕らはナゲッツだから慣れてる」<DUNKSHOOT>
現地時間5月18日(日本時間19日、日付は以下同)に行なわれた第2戦は、後半からナゲッツがジリジリと追い上げ、最後は108-103と5点差で勝ち切ったが、勝利の決め手となったのは、最終クォーターだけで3ポイント4本を含む23得点を叩き出したジャマール・マレーの大爆発だ。
この試合、マレーはゲームハイの37得点をマークしたが、前半は10得点のみとおとなしかった。そこでハーフタイムに、習慣にしている瞑想で自分自身を“完全にリセット”したことが、後半戦のパフォーマンスにつながったと試合後にコメントしている。
「すべてはメンタルの鍛え方だ。どう変えればいいのか、何を調整すればいいのか、自分にはわかっている」
ナゲッツはホームコート・アドバンテージをしっかり生かした状態で敵地に臨むことになるが、そんななかでも「巷の話題はもっぱらレイカーズ」だと苦笑するのは、マイク・マローンHC(ヘッドコーチ)だ。
「プレーオフの第1戦に勝ったあとも、みんなレイカーズのことばかり話していたよ」と、第2戦を制した後の会見で語ったマローンHC。
「国中がそうした論調だった。『レイカーズは大丈夫だ。1-0ダウンだけれど、解決策を見い出したようだ』と。誰もニコラ(ヨキッチ)については話題にもしていなかった。彼は今日の試合でも歴史的な活躍をした。13回目のトリプルダブルだよ。これは偉業だ。それなのにみんなが話題にするのは、ナゲッツでもニコラでもない、レイカーズがアジャストした、ということなんだ」
最終クォーター、八村塁がヨキッチに対して意表をついた好ディフェンスを見せたことも、マローンHCが指摘した「巷の話題」のひとつだ。
「この2勝目でその論調は変わると思うか?」
そう記者から質問を挟まれると、マローンHCは「どうだっていいさ」と即答。
「我々には自分たちの間で話すことがある。それにまだ何も勝ち取ったわけじゃない。相手のコートで勝てるかがシリーズの正念場だ。そして相手が素晴らしいチームだということも熟知している。とくにホームコートでね。だからまだ祝ったりする段階じゃない。これからもっと高めていくべき時だ」
マレーも地元紙『デンバーポスト』に「僕らが勝っても、いつも話題は相手チームだ」とコメントしていたが、それはかえって彼らの闘志に火を付けるという。
「外での騒音は外でのこと。僕らはデンバー・ナゲッツだから、そういうことには慣れている。バブルで(ロサンゼルス)クリッパーズを倒した時も、みんなは相手チームのことを話していたよ。同じことの繰り返しさ。だけど、僕たちは一層燃える。そんな状況で手にした勝利は、より甘美なものになるからね」。
この第2戦で、プレーオフに入って4戦連続のトリプルダブルと超人的な働きを見せる大黒柱のヨキッチも、こうした状況は「かえってありがたい。楽しんでいる」と、いつも通り鷹揚とかまえている。
このファイナルに突入する前も、2020年のカンファレンス・ファイナルで対戦しているレイカーズについての印象を聞かれて、ヨキッチは「正直あまり覚えていない」と答えていた。
当時のメンバーで現在も残っているのはレブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスの2人のみであるのに加え、デンバーがレイカーズと最後に対戦した1月9日以降、ラッセル・ウエストブルック(クリッパーズ)やパトリック・ベバリー(シカゴ・ブルズ)らが去り、八村やジャレッド・ヴァンダービルト、ディアンジェロ・ラッセルらが加わった。2020年のチームどころか、現在のチームについても、ナゲッツにとっては“初対戦の相手”という感覚なのだ。
「基本的には、僕らにとってはまったく新しいチームと対戦する感じになる。おそらくすべてが新しく、すべてが異なるはずだ」
クリプトドットコム・アリーナに会場を移しての第3戦、自分たちを“ダークホース”と認識して挑むナゲッツが、シリーズ王手をかけるのか。マローンHCの言葉どおり、ここからが正念場だ。
文●小川由紀子
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