新体制下でのドライバーは!? ホンダが2026年からのF1復帰&アストンマーティンとのワークス契約を発表!
3年前の10月に「2050年のカーボンニュートラル実現に向けて経営資源を集中させる」と撤退理由を明かしたにもかかわらず、これほど早期に復帰を決めたのは、「F1が2030年のカーボンニュートラル実現を目標として掲げ、2026年以降は100%カーボンニュートラル燃料の使用を義務付けるとともに、電気エネルギーの比率が大幅に高められることになり、このレギュレーション変更がホンダの方向性と合致し、その実現に向けた技術の開発が大きな意義を持つため」だという。
もっとも、レッドブルとの提携で2021年にドライバーチャンピオンシップ(マックス・フェルスタッペン)を勝ち取って以降、ホンダがF1から撤退しても、同社の出資のモータースポーツ専門会社「ホンダレーシング(HRC)」が、新たに設立された「レッドブル・パワートレイン」に協力し、PUの製造、供給を2025年まで続けることになっていた。そして2022年11月には、2026年からのPU製造者登録を締め切り間際に済ませたことで、この年からのPUサプライヤーとしての復帰は噂されていた。
こちらも以前から噂されていたアストンマーティンとの提携について、ホンダの三部敏宏社長は「勝利への真摯な姿勢と情熱で大いに共感し、アストンマーチン・アラムコ・ホンダとして、2026年からともにチャンピオンを目指すことになりました」とコメント。一方、今季ここまでコンストラクターズランキングで2位と絶好調な英国チームからは、マーティン・ウィットマーシュCEOが以下の通りに声明を発している。
「ホンダのような世界的なモータースポーツの巨人とワークスチームとして提携するのは素晴らしい機会であり、これはチームにとって非常にエキサイティングで、さらなる重要なステップだ。我々は、何十年にもわたってこのスポーツで成功を収めてきたホンダから学ぶべきことがたくさんある。これが将来の我々にとって、素晴らしいパートナーシップになるとをすでに確信している。ホンダとの協力は、後押しとなるだけでなく、我々の壮大な野望を達成するために必要な、パズルの最後のピースでもある」
そして、新体制下でどのようなドライバーラインナップが組まれるかも気になるところだが、今季よりアストンマーティンに加入し、現時点でレッドブル勢に次いでチャンピオンシップ3位につけている41歳のフェルナンド・アロンソは、かつてマクラーレン・ホンダ時代に「GP2エンジンだ」と言い放った“因縁”があるが、三部社長は「過去のことと捉えています」と意に介さず、「天才的ドライバーで尊敬しています」と語った。
また、ホンダということで角田裕毅(アルファタウリ)についても質問が上がり、HRCの渡辺康治社長は「3年先のことであり、最終的にチームが決定すること」としながらも、「我々の育成ドライバー出身ということで、今F1の中で活躍をしてくれて大変嬉しく思います。是非、(アストンマーティンのドライバー選びに)絡んでくれたら嬉しいなと思います」と思いを明かした。
このニュースに対する現地メディアの反応を見ると、オランダのF1専門サイト『RN365』は「2009年からメルセデスからエンジン供給を受けているシルバーストンのチームは、またギアボックス、リアサスペンションなども、このドイツのメーカーのものを採用しているが、今回のホンダとのワークスパートナーシップにより、より自主性の機会を得ることになる」と報じている。
アメリカのモータースポーツ専門メディア『RACER』は、「アストンマーティンが2026年からホンダのワークスチームとなるというニュースを過小評価してはならない。アストンマーティンにとって、チームがワークスサポートを受けるのはこれが初めてであり、ある種の賭けとなる」と予測し、以下のように続けた。
「ホンダはレッドブルとの提携で3年連続のチャンピオンシップ制覇に向けて十分な準備が整っているように見える。とはいえ、アストンマーティンには、同様の成功の保証はない。また、この日本のメーカーは、2021年末に撤退したように、F1への参戦に対しては反射的に後手、後手で決定を下す傾向があり、プロジェクトが瞬時に変更される可能性もある」
最後に、英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、「10年前、ウィットマーシュがマクラーレンのチーム代表として、2015年のホンダとの新たな契約が『ビッグチームのひとつになるための基盤になる』と宣言したことを考えると、皮肉屋は嘲笑するかもしれないが、当時のマクラーレンと今回のアストンマーティンは全く異なる組織であり、後者は今上昇傾向にある」と指摘する。
そして、「アストンマーティンは2026年、6つのワークスチームのひとつになる。ホンダとの提携は、2018年8月にローレンス・ストロール(現アストンマーティン会長)のコンソーシアムに買収されて以来、チームが成し遂げてきた目覚ましい進歩の最新のステップである」とも綴っており、全体的にはポジティブに捉えているようだ。
構成●THE DIGEST編集部
【画像】各チームニューマシンを発表!2023年シーズンを戦うF1全チームの新車を一挙紹介!
【関連記事】イモラでのF1は自然災害により中止が決定! 角田裕毅も現地の人々の安全を願う…代替開催は「難しい」と見解を示すメディアも
【関連記事】「昨季はF1を楽しめなかった」角田裕毅が今季の“変化”を独専門メディアに激白!好調を支える“敏腕”マネージャーとは?