メジャーリーグの試合を観戦していると、いつもとは一風変わったユニフォームに目を奪われることがあるはずだ。ダルビッシュ有が所属するサンディエゴ・パドレスはピンクやミントを使ったポップなデザインのユニフォーム、吉田正尚が所属するボストン・レッドソックスは鮮やかな黄色と水色のユニフォームを着用することがある。これらは「シティコネクト・ユニフォーム」と呼ばれるもの。それぞれの都市のイメージをデザインに落とし込み、チームの新たな魅力を発信することが狙いだ。

 2020年からMLB30球団のユニフォームのサプライヤーとなったナイキが、21年に新たな試みとして開始。まず、ロサンゼルス・ドジャースやシカゴ・カブスなど7球団が導入した。伝統を重んじる一部の関係者からは懐疑的な声も上がっていたものの、ファンからは好評。昨年は7チーム、今年は5チームと計19球団が採用している。

いずれも独創的なデザインばかりだが、その中でもとりわけかっこいいデザインをSLUGGER編集部の独断と偏見によるランキングで紹介しよう。

▶第5位 サンディエゴ・パドレス

 奇抜なデザインということではパドレスの右に出るものはない。パドレスのシティコネクト・ユニフォームは、サンディエゴから年間約5000万人が行き来するメキシコの国境都市ティファナに敬意を表したものだ。街の外観や装飾に多く使われているピンク、イエロー、ミントの3色を使ったポップでエキセントリックな配色と模様はまさに斬新で、発表当時は誰もが驚いた。賛否両論あったが、シティコネクトの認知度が劇的に高まったことは間違いない。

 第4位 ワシントン・ナショナルズ

ナショナルズのシティコネクト・ユニフォームは、グレーの生地に桜の模様を大胆に落とし込んだデザインで、キャップのロゴにも桜吹雪の刺繍が施されている。これはもちろん、本拠地ワシントンDCが桜の名所として知られていることから。1912年に日米平和と親善の象徴として日本から桜が寄付され、街を流れるポトマック川は世界有数の桜の名所として知られている。和のテイストが施され、侘び寂びも感じることができるデザインは、他の球団にはない独自性を持っている。

 第3位 ロサンゼルス・エンジェルス

 大谷翔平もお気に入りと公言しているユニフォームは、南カリフォルニアのビーチやサーフィンをデザインに落とし込んだものだ。ビーチの砂浜を連想させるクリーム色を基調とし、「angels」 ロゴの下になびく一本線は、波とサーフボードをイメージしている。前面に施されている背番号はビーチを守るライフガードが拠点とするライフガードタワーをモチーフにしたもの。細部までこだわり抜いたそのデザインは、シンプルながらもロサンゼルスの特徴を完璧に捉えている。

第2位 マイアミ・マーリンズ

 斬新さで言えば、マーリンズのデザインも負けてはいない。チームカラーの淡いブルーとはまさに対照的な、鮮やかな赤を基調としたストライプのユニフォームは1946〜60年にキューバに存在していた3Aチーム、ハバナ・シュガーキングスへのオマージュ。情熱的な赤はキューバ代表のカラーでもあり、マーリンズのメインユニフォームよりもキューバ系市民が多く住むマイアミの街を象徴していると言えなくもない。一件着こなすのが難しそうに思えるが、ジャズ・チゾムJr.らラテン系の選手にはよく似合っている。

第1位 コロラド・ロッキーズ

 本拠地クアーズ・フィールドからも望めるロッキー山脈の絶景を、そのままあしらったかのようなデザインが特徴だ。キャップはグリーン、フロントパネルはホワイトで、郵便略号の「CO」、紫の山、青い空、赤、金、紫のリングをモチーフにした刺繍ロゴが施されている。ユニフォームの上部は山々に降り積もる雪をイメージした白、胸から下は同州の特徴である松の木をモチーフにした鮮やかな緑。配色のバランスは既存のユニフォームにはなかい新鮮味と斬新さにあふれ、これぞ「シティコネクト」というデザインとなっている。

 構成●SLUGGER編集部