「僕をクラッシュさせる気か?」無線での厳しい返答も話題に… 角田裕毅、モナコGPはブレーキの問題で9番手を守り切れず
【動画】F1モナコGP決勝ハイライト 予選での見事なパフォーマンスでポイント圏内からのスタートとなり、期待を受けて臨んだレースでは、安定したドライビングを披露し、中盤で雨が降り出してタイヤをミディアムからインターミディエートに替えてからも9番手を維持したが、この頃にはブレーキの不具合が顕著となってペースが落ち、終盤でマクラーレン勢に抜かれて入賞圏内から陥落すると、ミラボーでコースアウト。ここでさらに大きく順位を落とすこととなった。
予選後にはチームメイトのニック・デ・フリース(12位フィニッシュで今季初めてチーム内対決に勝利)も12番手に入ったことで、アルファタウリの躍進を自身のSNSで喜んでいた角田だが、レースは今季ワースト。チームの公式サイトでは、以下のようにこの週末を振り返っている。
「とりわけドライコンディションでは、良いペースを示し、上手くコントロールもできていたので、厳しい結果になりました。雨が降り出してからの、ミディアムからインターへタイヤを替えるピットストップのタイミングが完璧であり、チームは良い仕事をしてくれました。しかし、週末を通して悩まされたブレーキの問題が雨で酷くなり、車のコントロールや状況への対応が難しくなってしまいました。これが起きてからは、まるで“乗客”になった気分(自分では何もコントロールできない)でした」
「もちろん、僕もチームも悔しく思っています。ポイント獲得が可能だっただけに、この結果を受け入れるのは難しいです。まだ我々には、完全にすべきことがあります。とはいえ、この週末はポジティブなことも間違いなくありました。今は、リセットし、バルセロナ(今週末のスペインGP)に集中します」
また、F1公式サイト『F1.com』のインタビューでも、「ドライでは大丈夫でしたが、雨が降り始めるとすぐに問題は大きくなりました。そこからは何もできず、全くリズムが掴めなくなって、かなり速度を落とさなければなりませんでした。少なくとも、車にダメージを与えずに済んだのは良かったですが、ドライビングは本当に難しかったです」と、状況を説明した。
加えて、ミラボーで直進した場面については、「チームから、『(雨が止んで)気温が上がればブレーキが正常の範囲内に戻るため、もっとブレーキを踏むように』と言われたので、様子を見てみようとペダルを踏んだら、危うくウォールに突っ込みそうになりました」と明かしている(オランダのF1専門サイト『RN365』より)。
今回のレースでは、終盤に無線でエンジニアからペースを上げるためにブレーキングについて指摘を受けた際、角田が「それは分かるけど、このブレーキはやばい!」「僕をクラッシュさせる気なのか、それとも何なの?」と厳しく返答したことが話題になったが、チームは苦しんだ日本人ドライバーについて、SNSで「苦労が続いた」「コンディションの変化により困難で厳しい1日になった」「フラストレーションに満ちた終わり方」と振り返った。
そして、テクニカルディレクターのジョディ・エッギントンは、「ユウキにとっては、全てが計画通りで、ペースも良く、タイヤのグレイニングにも対処することができた。雨が降ってきたので、しかし、ブレーキを何度も調整したにもかかわらず、すぐにこれに苦しむこととなった。ブレーキが不安定なまま、ラップタイムが低下し、2台のマクラーレンに抜かれてしまった。我々はブレーキの問題を理解する必要があり、また空力のアップデートについては学ぶべきことがまだ多い」とのコメントを残している。
海外メディアの報道を見ると、イタリアの自動車専門サイト『MOTORIONLINE』は「角田は9番手を堅持し、全力を尽くした。スタートからレースの大部分をとしてポジションを維持し、何か良いことを期待して雨を待った。ピットストップは適切なタイミングだったが、週末を通してユウキを苦しめていたブレーキの問題はさらに悪化。彼は車をコース上に保とうと努めたが、最終的にはこれに屈した」と伝えた。
一方、フランスのモータースポーツ専門サイト『Motorsport NEXTGEN-AUTO.com』は「9番手からスタートした角田は、78周中の66周目までこの順位を維持する好レースを見せ、トップ10以内でフィニッシュする見込みは十分にあると思われた。しかし、コースが濡れると日本人はミスをし、何人かのライバルが彼を追い抜いていったが、その原因はブレーキの問題だった」と報じている。
そして、英国のモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、「モナコGPの勝者と敗者」という記事において、角田を「敗者」に選定。「角田はモナコGPの大部分で、断然トップの『ベスト・オブ・ザ・レスト』なドライバーだったが、レースで雨が降った直後に事態は急速に崩れた。(中略)結局のところ、アルファタウリにとっては6番手の車になる可能性があると思われたサーキットでの週末は、“無駄”なものとなった」と綴った。
構成●THE DIGEST編集部
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