バレーボール男子日本代表のエースで、5月末にV1ジェイテクトを退団した西田有志(23)の移籍先として、V1パナソニックが濃厚になっていることが1日、分かった。
  西田は三重県いなべ市出身。海星高校から2018年4月、ジェイテクトに入団。同年1月の堺戦で内定選手としてV1デビューを果たし、2戦目のJT戦では先発してチーム最多の26得点を挙げた。ジャンプ力と左腕からの強烈なスパイク、サーブが武器で、18年度の男子日本代表にも抜擢され、19年のワールドカップではベストサーバー賞を獲得。

 プロ契約選手となったV1の19/20年シーズンでは得点王、サーブ賞、ベスト6を受賞する活躍で、ジェイテクトを初優勝に導き、20年12月の天皇杯でも初優勝に貢献した。

 2021年東京五輪に出場後、イタリア・セリエAのウィボ・ヴァレンツィアに移籍。22年6月、ジェイテクトに復帰していた。

 22年12月に、女子日本代表主将の古賀紗理那(NEC)との結婚を報告。22/23年シーズンは体調不良での離脱もあったが、天皇杯優勝に貢献した。

 西田は5月中旬、移籍に対する基本的な考えについての取材に対し「自分がトライをしてみたいと思い、トライすることが出来るのがプロ。(必要だと求められる)そこが(自身への)評価だと思っています。そういうものがプロである自分たちの存在価値だとも思います。そのチームで応援したいという人がたくさんいらっしゃるのは分かるのですが、自分たちの道としてよりレベルを上げたい、より自分を高めるためにというところでの選択です」と語っていた。

 ジェイテクト退団後の去就については、5月31日に「海外移籍も視野に入れていますが、来年のパリ五輪に向けての予選などがあるので、(調整など)コントロールをしやすいのは国内(チーム)になるのかなと思う」と、国内移籍を示唆していた。

 海外挑戦からジェイテクトに復帰して1年での移籍。しかもライバルとなる国内チームへの移籍について、複雑な思いを抱くファンも多いだろう。

「自分を拾って下さり、ここまで伸ばしていただいたジェイテクトにはすごく感謝しています」。西田の心の中にあるのは、無名の高校から採用してくれ、海外へも挑戦させてくれたジェイテクトへの感謝だ。

 同時に、西田を突き動かすのは、プロとしての矜持。
 「(移籍は)海外では普通のこと。他のプロ競技でもチームを変え、いろんな環境でやっています。僕は一度、移籍を経験しているので、そこに対しての違和感はありません。(国内の)他のスポーツでもそれが当たり前になって来ました。ずっと同じチームでと言ってしまったら、そのレベルにとどまってしまい、次のステップに行けなくなってしまします」

「よりクオリティーが高い練習がしたいし、自分が求めているものに対し、必要とする形が出来ているところを探したい」

プロとして高みを目指すためには、よりよい環境を求めることが必要だと強調する。
  昨年末、原因不明の体調不良で戦列を離れた。

 体調が戻って感じたのが、バレーが出来る喜びと同時に、バレーに向き合う意識の変化だった。
「もっとうまくなりたいという気持ちがすごく強くなりました。自分のレベルを上げたい、もっと強くなりたいと口に出して言えるようになったのが、すごく変わったところです。自分の中で『これが必要だったんだ。こういう気持ちで練習することが大切なんだ』と感じ、自分の行動も変わりました」と話す。
  ファンに向け、「今までこうした動きがなかったので、混乱されているファンの方もいらっしゃると思います。『移籍をしないで』という方もいらっしゃるかもしれませんが、それはプロとしてあるべき姿ではないと思います。そのチームで応援したいという方がたくさんいらっしゃるのは分かるのですが、プロとしてよりレベルを上げたい、より自分を高めたいというところの選択です」と理解を求める西田。

 Vリーグのトップリーグは、2024/25シーズンから「SVリーグ」として世界最高峰のリーグを目指す。外国人枠や移籍のルールも大きく変わることだろう。

 6月1日のVリーグ機構の「移籍希望選手リスト(男子)」には、西田のほか、元JTの小野寺太志、元堺の深津旭弘ら日本代表選手も掲載。1日には小野寺のサントリーへの移籍が決定。また、代表復帰の元ジェイテクトの柳田将洋は、移籍希望選手リストに未掲載だが国内移籍を模索しており、深津とともに東京GB入りが有力視されているなど、代表選手クラスの国内移籍も活発になってきている。

 西田の目指す「移籍は普通」という時代はそう遠くない。

取材・文●北野正樹

【著者プロフィール】
きたの・まさき/2020年11月まで一般紙でプロ野球や高校野球、バレーボールなどを担当。関西運動記者クラブ会友。
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