現地時間6月3日に行なわれたスコティッシュ・カップ決勝で、セルティックはインバーネスを3-1で下し、3年ぶり41回目の優勝、そして3年ぶり8回目となる国内三冠を達成した。

 昨シーズンに獲り逃したタイトルを懸けて臨んだハンプデンパークでの一戦、38分にマット・オライリーのクロスに反応してダイレクトでニアに叩き込んだのは、やはり古橋亨梧だった。彼の今シーズン公式戦34点目のゴールによって完全に勝ちパターンに乗ったセルティックは、65分に左サイドを崩してのクロスをリエル・アバダが合わせて加点。84分に1点を返されるも、後半アディショナルタイムには右からのクロスをファーサイドのジョッタが上手くコントロールして試合を締めた。

「トレブル」達成に大貢献した古橋は、試合後の『CELTIC TV』のインタビューで「(オライリーとは)良い関係を築いているし、彼も僕もお互いを信頼し合っています。だから、僕はただそこに走り、彼はボールをくれました。それがゴールになりました」「僕たちは毎日ハードワークしてきました。このタイトルは、我々の努力の結果です。信じられないという以外の言葉では表わせません」と、チームメイトを称えるとともに、その仲間たちと成し遂げた偉業への喜びを示した。
  そんな古橋に対し、アンジェ・ポステコグルー監督は「今日もキョウゴがゴールを決める場面を目にしたが、彼は全く完調ではなかったにもかかわらず、プレーすることしか考えていなかった。そして、やるべきことをやり遂げた」と称賛。スコットランドFA(サッカー協会)も、「決定的なキョウゴ」「ハンプデンパークでも違いを生み出した」と賛辞をまじえて伝えている。

 現地メディアの報道では、スポーツ専門チャンネル『Sky Sports』は「古橋とアバダがセルティックに余裕をもたらすリードを奪い、アディショナルタイムにジョッタがゴールを決めて祝賀ムードを盛り上げ、歴史的な三冠を達成した」と報じ、10点満点の採点では最高タイの「8」を与えた。 英国公共放送『BBC』は、「インバーネスは多くのチャンスをセルティックに与えなかったが、キョウゴはシーズンを通して、ゴールチャンスはひとつあればいいということを示しており、この試合でも日本人ストライカーはオライリーのクロスからボールをゴール上段に押し込み、セルティック加入以来、カップ戦決勝での5点目をマークした」と綴り、視聴者による採点では両チーム最高の「7.00」で「プレーヤー・オブ・ザ・マッチ」に選定されている。

 また英国の日刊紙『The Guardian』は、「古橋がトレードマークのランとフィニッシュを決めるまで、それが起こる予兆はほとんどなかった。オライリーが創造主となり、ゴール前のクロスを古橋が歩幅を崩すことなく叩き込んだ。日本のリーグからセルティックに移籍したこのFWは、オーストラリア人監督の在任期間における、最も重要なサクセスストーリーだ」と称賛した。

 同メディアはまた、「これは彼の今シーズン34得点目であり、驚くべきクオリティーのゴールだった。古橋の不思議な点は、ゴールが多いにもかかわらず、試合の中ではほとんどの時間帯でプレーに関与していないことだ」と指摘し、改めてその「ゴールマシン」ぶりを強調している。

 スコットランドの日刊紙『THE SCOTSMAN』は、「国内のタイトルを独占したシーズンで、古橋の欠点を見つけるのは難しい。彼は多くの個人タイトルも獲得した。しかし、スコティッシュ杯のトロフィーは、全ての賞の中でも宝物であった」と綴り、その理由として「トレブルを達成したかったので、それができてとても嬉しいです。昨シーズンはスコティッシュ杯で勝てなかったので、それは大きな目標でした」という、古橋のコメントを紹介した。
 『THE SCOTTISH Sun』紙は、採点でチーム最高タイの「7」を彼に与え、「日本人の“お守り”は、コンディションに問題はないと認められて出場したが、先制ゴールの前にボールに触れることはほとんどなかった。さらにもう1点、決めるチャンスがあった。これで、カップ戦での決勝3試合で5ゴールを記録した」と評している。

 続いて『The Herald』紙は、「軽い怪我を乗り越え、先発出場を果たし、見事な先制ゴールで均衡を破った。ハーフタイム前、もう少しで2点差に到達するところだった。試合開始から1時間が経過する前(59分)にオ・ヒョンギュと交代した。2022-23シーズンの彼の得点は34で終了。日本人ストライカーの補強は、センセーショナルなものとなった」と賛辞を贈り、採点ではこちらもチーム最高タイの「8」とした。

 最後に、グラスゴーの地元メディア『Glasgow Live』は、やはり「9」という最高採点(マグレガーと同評価)で、寸評は「それ(先制点の得点者)は彼でなければならなかった。過去2回のハンプデンパークでの決勝でダブルを決めた後、キョウゴは今シーズン34度目となるゴールで膠着状態を打破。日本のスター選手は、パークヘッドでのわずか2シーズンで伝説となり、この重要な3冠を含む、5つのトロフィーを手に入れた」と綴られた。

構成●THE DIGEST

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