10頭のGⅠホースが顔を揃えた春のマイル王決定戦、安田記念(GⅠ、東京・芝1600m)が行なわれ、前走のヴィクトリアマイル(GⅠ)を制して臨んできた単勝4番人気のソングライン(牝5歳/美浦・林徹厩舎)が本レース2連覇を達成。2着には3番人気のセリフォス(牡4歳/栗東・中内田充正厩舎)が入り、1番人気のシュネルマイスター(牡5歳/美浦・手塚貴久厩舎)は3着となった。また、ファンに絶大な人気を誇るソダシ(牝5歳/栗東・須貝尚介厩舎)は終いの伸びを欠いて7着に敗れた。

【動画】圧巻の末脚でソングラインが安田記念を制す! 太平洋上を移動する台風2号が前線を刺激したため、日本列島全体が雨にたたられた週末。東京でも金曜から強い雨が降り始め、それは土曜の午前中まで続いた。ちなみに土曜最初の芝レースとなる第4競走での馬場状態は「不良」だったが、曇天ではあったものの気温の高さもあってか徐々に回復。この日最後の芝のレースとなった第10レースでは「重」まで戻していた。

 さらに日曜日は回復が進み、最初の芝レースとなった第3競走では「稍重」となり、午後に入っての第7競走ではついに「良」まで回復。適度にクッションのある、理想的な馬場状態で大一番を迎えることになった。

 レースは17番枠からダッシュをきかせたウインカーネリアン(牡6歳/美浦・鹿戸雄一厩舎)が先頭を奪い、出方が注目されていた大阪杯(GⅠ)の覇者ジャックドール(牡5歳/栗東・藤岡健一厩舎)は2番手に控えた。ソダシはスムーズに3番手を追走し、セリフォスがその直後の好位置をキープ。ソングラインは中団の後ろ目から進み、シュネルマイスターは後方の15番手から末脚にかけることになった。

 1000mの通過ラップは57秒6というハイペース。逃げ・先行馬には厳しい流れになった反面、逆に差し・追い込みには願ってもないチャンスが訪れた。

 直線へ向くと、坂上でジャックドールが先頭に躍り出て、ソダシもしぶとくそれに喰らいついている。さらにはインを突いて伸びてきたセリフォスも先頭争いに加わり、激しい叩き合いが繰り広げられた。しかし、真打はその外から迫っていた。追い出しを我慢していたソングラインは追い出されると素晴らしい末脚の切れを見せ、先団を一気に差し切って先頭に立つと、ゴールでは2着のセリフォスに1馬身1/4の差を付けて圧勝。ヤマニンゼファー(1992-1993)、ウオッカ(2008-2009)に次ぐ史上3頭目となる本レース連覇、また2009年のウオッカ以来となるヴィクトリアマイル→安田記念でのGⅠ連勝という快挙を成し遂げた。
  ソングラインのローテーションを見ると、昨年はサウジアラビアの1351ターフスプリント(GⅢ)に勝ったのち、ヴィクトリアマイルの5着を経て安田記念を制覇。ことしも約半年ぶりの実戦となる1351ターフスプリント(10着)に遠征したのち、ヴィクトリマイル、安田記念を連勝。長距離遠征を経たあとの調整には困難もつきまとうだろうが、それを克服したソングラインのタフさはもちろん、彼女のケアを結果に結びつけた厩舎スタッフの”プロの仕事”も称賛せずにいられない。

 前走のヴィクトリアマイルから手綱を託された戸崎圭太騎手は、
「このように素晴らしい馬に巡り会えて、GIを2連勝ということで、とても嬉しいです。中間の追い切りに乗って状態もさらにアップしているのではないかと感触を得ていましたので自信を持って乗りました」
 と、レースを振り返った。
  一方の林徹調教師は、
「今日は戸崎騎手が120%の騎乗をしてくれて感謝しています。このような強いメンバーを相手に勝ち切ることができてとても嬉しく思います」
 としたあと、今秋は米国遠征も視野に入れて調整する旨が明かされた。

 昨秋のマイルチャンピオンシップ(GⅠ)を制したセリフォスは差し有利の展開のなか、直線を向いた時点での4番手から2着に押し上げたしぶとさはGⅠホースとしての能力をあらためて感じさせるものだった。

 シュネルマイスターはおそらく鞍上が予想したより位置取りが後ろになったと思われるが、15番手から上がり最速の32秒8という鬼脚を繰り出した迫力は流石と思わせるもの。昨年のクビ差2着のリベンジは果たせなかったが、これからもマイル戦線での活躍が十分に期待できる走りだった。

 初のマイル戦ということで注目を集めたジャックドールだが、5着という結果に対して武豊騎手が「決して無謀な挑戦ではなかった」と評し、藤岡健一調教師も「一瞬『やった』と思ったが、上に来た馬の切れ味は凄かった」と述べ、納得の走りだったことを明かした。なお、藤岡調教師は、秋はまず天皇賞を目標にする考えを示した。

 また7着に敗れたソダシだが、川田将雅騎手の「4コーナーの手応えより、最後までよく走り切ってくれた」とのこと。ハイペースが堪えたことと、ヴィクトリアマイルでソングラインとアタマ差の勝負を演じたあとだけに、レース間隔の短さも含めて、やや調子落ちがあったのかもしれない。
<了>

取材・文●三好達彦
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