F1第14戦のオランダ・グランプリでは、アストンマーティンのフェルナンド・アロンソが5番グリッドからスタートして安定したドライビングを見せながら、チャンスを活かし、2位でチェッカーフラッグを受けている。

 7月29日に42歳となった2度のワールドチャンピオンは、今季7度目の表彰台。2021年にF1復帰を果たすと、アルピーヌでは2シーズンで表彰台に上がったのは1回(2021年カタールGPで3位)だけだったが、今季、イギリス国籍のチームに新天地を求めると、車の性能の高さを十分に活かし、開幕3戦で3位入賞を果たすなど、独走するマックス・フェルスタッペン(レッドブル)を除けば、最も成功を収めたドライバーである。

【PHOTO】各チームニューマシンを発表!2023年シーズンを戦うF1全チームの新車を一挙紹介! スペインのスポーツ紙『MARCA』は、3位を4回、2位を3回と決勝で好成績を挙げただけでなく、予選ではフェルスタッペンをも上回る全13戦で唯一Q3進出を果たしている、チャンピオンシップランキング3位につける自国ドライバーを称賛しながら、「彼の最大の長所」は別のところにあると指摘する。

「毎回、彼は日曜日に『AMR23』のスタートポジションを、より速いライバルたち相手に守ることができる。2023年、フェルナンドはスタート時の順位を守り抜くことに成功した。唯一、ハンガリーのレースだけは状況が異なり、彼は8番グリッドからスタートし、9位でゴールした。これは、彼の今季の成績の中では最も悪いものだった(※マイアミGPも予選2番手から決勝は1つポジションを落としたが、表彰台は守り切っている)」

 同メディアが「信じられないほどの一貫性を示している」と評したアロンソの、今季の予選と決勝の順位は以下の通りである。

バーレーンGP:予選5番手→決勝3位
サウジアラビアGP:予選3番手※→決勝3位
オーストラリアGP:予選4番手→決勝3位
アゼルバイジャンGP:予選6番手→決勝4位
マイアミGP:予選2番手→決勝3位
モナコGP:予選2番手→決勝2位
スペインGP:予選9番手※→決勝7位
カナダGP:予選3番手※→決勝2位
オーストリアGP:予選7番手→決勝5位
イギリスGP:予選9番手→決勝7位
ハンガリーGP:予選8番手→決勝9位
ベルギーGP:予選9番手→決勝5位
オランダGP:予選5番手→決勝2位
※他ドライバーの降格によって1グリッド繰り上げ 同じ車を駆るランス・ストロールには現時点で121ポイントもの大差をつけるなど、あらゆる点で改めてその実力の高さを見せつけたアロンソ。中盤戦に入り、ライバルが車を改善させてきたこともあり、鳴りを潜める時期もあったが、ザントフォールトで復活した大ベテランの今週末について同メディアは、「フェラーリ、マクラーレン、メルセデス、あるいはウィリアムズのようなライバル相手に、困難を強いられるだろうが、これまでの実績を考えれば、アロンソの表彰台の可能性は決して排除されるべきではない」と期待を寄せた。
  ちなみに、他のドライバーの、決勝順位が予選のそれを上回った、もしくは同順位となった回数を見ると、フェルスタッペンとセルジオ・ペレスのレッドブル勢は13回、12回と、いずれもアロンソを上回っているが、前者はポールポジション9回、優勝11回という圧倒的な成績を残したのに対し、後者は予選での失敗が目立ち、車の性能を考えれば本来いるべきでないグリッドからスタートして順位を上げたという点で、大きく異なる。

 ルイス・ハミルトン(10回)、ジョージ・ラッセル(9回)のメルセデス勢も車のパフォーマンスの不安定さにより、予選で中位以下に沈んで決勝で幾らか挽回するという展開が多い。一方、フェラーリはシャルル・ルクレールが4回、カルロス・サインツが5回と非常に少なく、こちらは決勝での車の信頼性の低さ、戦略の拙さなどが結果に表われている。

 そして、アルファタウリの角田裕毅は全体で4番目に多い10回(オランダGPは降格ペナルティで予選順位が14番手→17番手)。こちらは逆に、非力な車に苦しみながらも、優れた一貫性を示し、ポイントを獲得した3戦以外でも、再三ポイント圏内に迫り、アクシデントや戦略ミスがなければ……というレースも少なくなかったことで、ポジティブに評価できるだろう。

構成●THE DIGEST編集部
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