9月1日にスタートしたFIBAバスケットボールワールドカップ2023のグループフェーズのセカンドラウンドは、初日から波乱続きとなった。

 アラネタ・コロシアム(マニラ/フィリピン)ではFIBAランキング10位のイタリアが同6位のセルビアを78−76で、インドネシア・アリーナ(ジャカルタ/インドネシア)では同29位のラトビアが同1位のスペイン相手に74−69で、同13位のブラジルが優勝候補の一角カナダ(同15位)を69−65で撃破。

 また、日本の沖縄アリーナでは、同7位のスロベニアが同3位のオーストラリアを91−80で破っている。セカンドラウンド初戦を終えて4戦無敗のドイツ、スロベニア、そしてフィリピンのマニラにあるモール・オブ・アジア・アリーナではアメリカとリトアニアが4戦全勝とし、準々決勝への出場権を手にした。
  アメリカはモンテネグロ戦を85−73で制したものの、前半を終えて37−38とリードを許したほか、相手の高さの前に苦戦。パオロ・バンケロ(オーランド・マジック)やウォーカー・ケスラー(ユタ・ジャズ)がゴール下でショットを決め切れない場面もあり、オフェンシブ・リバウンド数で8−23、セカンドチャンスポイントで3−22と劣勢に立たされる。

 それでも、アンソニー・エドワーズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)が17得点、オースティン・リーブス(ロサンゼルス・レイカーズ)が12得点に3スティール、ジャレン・ジャクソンJr.(メンフィス・グリズリーズ)が11得点、タイリース・ハリバートン(インディアナ・ペイサーズ)が10得点、6アシスト、2スティール、ミケル・ブリッジズ(ブルックリン・ネッツ)が10得点、2スティールをマーク。

「前半、僕はチームを失望させてしまったと感じていた。アグレッシブではなかったんだ。0/5でシュートを止めてしまった。そんなこと、普段の僕ならやらないことなのにね。だからロッカールームで自分に『さぁ、動き出すんだ』と言い聞かせる必要があった」
  そう振り返ったのはエドワーズ。前半にフィールドゴール5本すべてをミスして無得点に終わっていた男は、後半に入って復調。ゴール下でタフなリバースレイアップ、ジャンパーを決めるなど、エースとして得点面でチームを引っ張った。

 また、ハリバートンは前半、チームが苦しんでいる時間帯に得点やスティール、アシストで貢献。さらにリーブスが試合時間残り約3分、7点リードへ広げる貴重な長距離砲を沈めるなど要所で活躍を見せた。

 リードチェンジ6回、同点7回を記録したこの試合は、最終的にアメリカが25分4秒間にわたってリードしていたものの、試合終盤の勝負どころではエドワーズ、リーブス、ジャクソンJr.に加え、ジェイレン・ブランソン(ニューヨーク・ニックス)ではなくハリバートンをコートに送り込んで乗り切った。
  もっとも、タフな試合になったとはいえ、エドワーズの自信が揺らぐことはなかった。

「僕らが勝つんだと確信していた。最初から僕らが勝つんだとね。こういう展開になったのは、相手がたくさんショットを決めたからさ」

 アメリカは3日に4戦無敗で並ぶリトアニアと対戦し、5日から始まるファイナルフェーズ、準々決勝へ臨むこととなる。

文●秋山裕之(フリーライター)

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