9月14日(日本時間15日、日付は以下同)。NBAレジェンドのカリーム・アブドゥル・ジャバー(元ロサンゼルス・レイカーズほか)が米メディア『PIX11 News』へリモート出演し、史上最高のポイントガード(PG)について言及した

 8月21日に公開されたギルバート・アリナス(元ワシントン・ウィザーズほか)のポッドキャスト番組『Gil's Arena』で、ゴールデンステイト・ウォリアーズのステフィン・カリーは「君は史上最高のPGかい?」という質問に、「そうさ」と返答。「僕とマジック(ジョンソン)の議論になるね。もちろん、僕ならそう答える」と語っていた。

 マジックは1980年代にレイカーズを5度の優勝に導いた206㎝の大型PG。レギュラーシーズンにおけるキャリア平均11.2アシスト、プレーオフの平均12.3アシストはどちらも歴代トップで、138回のトリプルダブル数は歴代3位を誇っている。

 一方のカリーはウォリアーズのフランチャイズプレーヤーとして2015年以降に6度のファイナル進出を飾り、4度の優勝、ファイナルMVPを1度獲得。35歳の今も現役最高級のPGに君臨している。

 マジックは“ショータイム・レイカーズ”の主役として華麗なノールックパスでチームメイトの得点を演出し、カリーは3ポイントでバスケットボール界に新たなトレンドを持ち込んだゲームチェンジャー(変革者)となり、リーグに強烈なインパクトを残してきた。
  ジャバーはキャリア20シーズンのうち、最後の14シーズンをレイカーズで過ごし、マジックらとともに5度の優勝を経験。伝家の宝刀スカイフックを武器に積み上げた通算3万8387点は、今年2月にレブロン・ジェームズ(レイカーズ)に抜かれるまで、歴代トップだった。

 そんなジャバーが歴代最高に選んだのは元同僚のマジックや天才シューターのカリーではなく、キャリア初期にミルウォーキー・バックスで共闘した“ビッグO”ことオスカー・ロバートソンだった。

「みんなこの名を耳にしたいとは思えないが、私の答えはオスカー・ロバートソンだ。私は彼のキャリア終盤に一緒にプレーするチャンスを得た。素晴らしかったよ。彼がどれだけゲームへ強烈な影響を与えてきたか、みんなわかっていない」

 196㎝・93㎏の“初代大型PG”として知られるロバートソンは1960年のドラフト1位でシンシナティ・ロイヤルズ(現サクラメント・キングス)に指名されて入団。デビュー戦(対レイカーズ)でいきなり21得点、12リバウンド、10アシストのトリプルダブルをマークした。
  2年目の61−62シーズンには平均30.8点、12.5リバウンド、11.4アシストで史上初の“平均トリプルダブル”を達成。さらに、キャリア14年間でオールスターに12度、オールNBAチームに11度、アシスト王に6度選ばれ、キャリア平均25.7点、7.5リバウンド、9.5アシスト、歴代2位の181回のトリプルダブルを記録した。

 ロイヤルズでは頂点に立つことはできなかったが、70年4月にバックスへ移籍。新天地で当時2年目のジャバーと最強デュオを形成し、70−71シーズンに球団創設3年目のバックスをリーグ制覇に導いた。

 バックスではジャバーのサポート役に回ったことでスタッツは落ちたものの、当時のリーグに彼のような屈強なサイズを持つPGはおらず、経験豊富なベテランとしてチームを強豪に押し上げた。
  なお、ジャバー&ロバートソン率いるバックスは74年にもファイナルへ進出。この年はボストン・セルティックスに3勝4敗で敗れたものの、優勝のチャンスは十分あった。

 現在のバックスにはヤニス・アデトクンボ、クリス・ミドルトンという結成11年目のデュオが在籍している。2人は2021年ミルウォーキーに2度目の優勝をもたらしたものの、“バックス史上最高のデュオ”になるには、ジャバーとロバートソンのように、少なくともあと1回はファイナルへ勝ち進む必要があるだろう。

文●秋山裕之

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