「挑戦する姿を見せたい」島田麻央が拘るトリプルアクセル&4回転ジャンプ”両方成功”へ不屈の源とは?
去る9月16日、大阪府泉佐野市の関空アイスアリーナで開催されたジュニアグランプリシリーズ日本大会。7年ぶりの自国開催を制したのは、14歳の島田麻央だった。
前日のショートで首位発進した昨季の世界ジュニア女王は、フリーでも圧巻の演技を披露。自己ベストには届かなかったが140.08点をマークし、合計213.86点。今季初の国際大会で見事優勝した。
島田は昨シーズンに引き続き、冒頭にトリプルアクセル、そして2本目に4回転トゥループというシニア顔負けの高難度構成で臨んだ。トリプルアクセルはGOE(技の出来栄え点)1.37点を叩き出す質の高さで成功するも、続く4回転ジャンプは惜しくも転倒してしまう。だが、世界女王は失敗を引きずることなく、その後のジャンプはノーミス。スピン、ステップは最高評価のレベル4を獲得し、他を突き放す圧巻の演技で会場を支配した。
14歳は「(フリーは)決して良かったわけではないんですけど、大きなミスがひとつで収められたことは、練習の成果が出て良かったんじゃないかなと思います」と大技2本を揃えられなかった悔しさはあるものの、悲嘆する様子はなかった。「失敗したけど、思い切って跳べたことに後悔はないので。今後も両方続けていきたい」と言葉に力を込め、挑戦へ貪欲な姿勢を示した。
それにしても、なぜ彼女はこんなに失敗のリスクがある高難度ジャンプに拘るのだろうか。その根底にある不屈の源は、スケートを始めるきっかけになった”憧れの人”の影響が強いことを窺わせた。
「浅田真央さんがトリプルアクセルに挑戦し続けている姿に憧れて、力をもらってきたので、自分も挑戦する姿を見せていきたい」
島田が憧れを抱く浅田真央さんはトリプルアクセルを武器に、当時15歳でグランプリファイナルを初制覇。初出場のバンクーバー五輪では銀メダルを獲得し、その後も世界トップスケーターらとしのぎを削り戦い続けた。金メダルが期待された2014年のソチ五輪ではショート16位と出遅れながら自身の代名詞であるトリプルアクセルをフリーで着氷すると、神がかった演技で会場を魅了。自己最高得点で6位入賞を果たし、伝説のプログラムと世界中から絶賛された。
自身の名前の由来になっている浅田さんが、トリプルアクセルに何度失敗しても挑む姿を小学生の頃から見てきたという島田。前向きに踏み切る3回転半と、後ろ向きに踏み切る4回転は「まったく違うジャンプ」と表現するほど、両方揃えるのは至難の業だ。練習で調子が上がらなかったなかでも、チャレンジすることを選んだ理由には、憧れの人と同じ軌跡を歩みたいという芯の強さがあった。
来月で15歳を迎える少女は大技2本について、「次は両方成功できるようにしたい」と力強く言い切った。女子シングルの未来を担う逸材の崇高な挑戦は、日本女子フィギュアの新時代到来を予感させる。
取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)
【動画】圧巻V!島田麻央の3A(35秒〜)&4T(55秒〜)をチェック!
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