現地時間9月27日(日本時間28日、日付は以下同)に成立した3チーム間トレードで、オールスターガードのデイミアン・リラードがポートランド・トレイルブレイザーズからミルウォーキー・バックスへ移籍した。

 するとバックスは翌28日、背番号0のユニフォームの先行販売をSNSで開始。30日にはリラードがミルウォーキーに到着し、早速練習施設でシューティング練習をこなすと、3ポイントを精密機械のように次々と沈めていった。

 リラードの古巣ブレイザーズは2014年から2021年にかけて、8シーズン連続でプレーオフへ進出。ただ、2019年にはカンファレンス・ファイナルまで勝ち上がったものの、優勝はおろかファイナル進出も果たせないまま、リラードに加えて主力ビッグマンのユスフ・ヌルキッチもフェニックス・サンズへ放出した。

 かつてリラードとバックコートデュオを形成していたCJ・マッカラムは、昨年2月にトレードでニューオリンズ・ペリカンズへ移籍しており、これでカンファレンス決勝へ進出した当時のメンバーはアンファニー・サイモンズのみとなった。
  そうしたなか、10月1日にブレイザーズの地元メディア『The Oregonian』で、マッカラムのコメントが公開。NBA入りから約9シーズン共闘した元相棒のトレードについて、こう話していた。

「彼のことを思うと本当にハッピーだよ。もちろん、物事は両者が望んだ形ではなかった。けど最終的に、彼ら(ブレイザーズ)はアセットを加え、若いタレントを中心にチームを構築して前へ進むことになったし、デイムはコンテンダーへ向かうことになった」

 7月上旬のトレード要求で、当初リラードは強豪への移籍を希望していた。特に、ジミー・バトラー、バム・アデバヨという2枚看板を中心に、直近4シーズンで2度もファイナルに勝ち進んでいるマイアミ・ヒート行きを強く望んでいただけに、バックス移籍というのは意外な結末に映ったかもしれない。

 とはいえ、バックスは2021年にNBA制覇を果たしており、昨季もリーグ最高成績の58勝24敗(勝率70.7%)をマークしている優勝候補の一角。なかでも、ビッグマンとのピック&ロールから点を重ねるリラードが、“怪物”ヤニス・アデトクンボとデュオを組むことになったのだから、相手チームにとっては脅威以外の何物でもない。
 「ジミーとバム、それにあの組織(ヒート)とロスターを軽視するわけじゃない。けど、ヤニスは別格だ。このリーグで彼のように支配してしまう選手はほかにいない。彼は本当に、ガードするのが大変なんだ」

 マッカラムがそう評したように、今季のバックスはディープスリーの使い手であるリラードと、インサイドで圧倒的な存在感を放つアデトクンボの強力コンビが相手チームへ襲い掛かる。
  さらにチームには長年アデトクンボの相棒を務めてきたクリス・ミドルトン、3ポイントとブロックを得意とするブルック・ロペス、得点とリバウンドでダブルダブルが計算できるボビー・ポーティス、3&Dのジェイ・クラウダーといった実力者もいる。

 これまでブレイザーズで孤軍奮闘を続けてきたリラードが、各ポジションにタレントが揃うバックスでどんなプレーを見せるのか興味深いところだ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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