F1第20戦のメキシコ・グランプリは10月29日に決勝が行なわれ、アルファタウリの角田裕毅は12位でチェッカーフラッグを受けている。

 自身は規定を超える基数のパワーユニットとギアボックスを交換したことで後方(18番グリッド)からのスタートを余儀なくされるも、チームメイトのダニエル・リカルドが予選4番手につけるなど「AT04」のポテンシャルの高さが示されたことで、決勝での挽回が期待されていた。

【動画】一時は8番手まで順位を上げるも…メキシコシティGP決勝ハイライト 事実、序盤で複数台を抜き去って14番手に浮上、9周目でタイヤをミディアムからハードに替えた戦略やセーフティーカー出動時にステイアウトしたことも奏功し、レースが中盤で赤旗中断になった際には8番手まで順位を上げていたが、再スタート後から前を走るオスカー・ピアストリ(マクラーレン)と激しいバトルを展開し、49周目の1コーナーで仕掛けた際に接触してスピン、16番手まで下がってしまった。

 その際には怒りを露にするも、コースに戻ると諦めずに走行を続け、最終的には12位まで浮上してレースを終えた角田。接触がなければポイント圏内フィニッシュの可能性は非常に高かったと思われるだけに、彼は自身のSNSに「ポイント獲得のチャンスを失って本当に悔しいです」と投稿し、またチームのプレスリリース等を通して「車のペースは我々が期待した通りだっただけに、ピアストリとのトラブルは本当に残念です」と悔しさを隠さなかった。

「後方に下がる原因となったインシデントについては、本当に申し訳なく思います」とチームに対して謝罪した彼は、あの場面でオーバーテイクを仕掛けたことについては、「終盤になると、デグラデーションによって他の車についていくのが難しくなるので、できるだけ早く追い抜きたかった」と理由を告白。なお、F1公式サイト『F1.com』のインタビューで、インシデントの責任の所在を問われた際には「ノーコメント」とだけ回答している。
  なお、ピアストリはこの場面について、「彼が追い越しを試み、僕はポジションを守ろうとした。ブレーキングゾーンで、彼があれほど右に曲がってくるとは予想していなかった。それでも、とにかく僕は無事だった。それだけだ」と語った(ブラジルのモータースポーツ専門サイト『GRANDE PREMIO』より)。
  大きな悔いを残しながらも、角田はSNSで「車は素晴らしかったし、インシデントまではドライビングも上手くいっていました。(次戦の)ブラジルでこの埋め合わせができることを楽しみにしています」とポジティブに綴り、またプレスリリースでも、以下のようにこのレースや次戦について言及している。

「ハードタイヤでのスティントには満足しており、それがなければ8番手まで上げられなかったでしょう。車はとても力強く、優れていました。このコースは、我々の車に適していました。(次戦の)ブラジルも低速コーナーのため、同じポテンシャルとチャンスがあると期待しています。残りのレースでもトップ10を争えればと思います」

 また角田は、リカルドが7位フィニッシュを飾って6ポイントを獲得し、コンストラクターズランキングでアルファタウリが8位に浮上(9位アルファロメオとは同じ16ポイントだが最高順位で上回る)したことで「チームとダニエルへのポイントを祝福します」と語ったが、チームのチーフ・レースエンジニア、ジョナサン・エッドルズは、この23歳の日本人ドライバーの“逸機”に複雑な想いを抱くこととなった。

「レース中にSCが出動した際、赤旗が出ると考え、ステイアウトするリスクを冒し、それが実現した。新しいタイヤが余っており、ユウキは素晴らしいポジションで再スタートしたが、残念ながらピアストリを追い越そうとする際、彼は少し早まった。彼らよりはペースが上だったので、(あの場面で仕掛けなくても)レースが終わるまでには仕留められたと思われるが、彼らは接触し、ユウキがスピンしてしまった」
  海外専門メディアの反応を見ると、イタリアの自動車専門サイト『MOTORIONLINE』は「角田はピアストリに対し、あまりにも楽観的過ぎた。彼は黄金のチャンスを逃してしまった」とネガティブに報道。一方、フランスのモータースポーツ専門サイト『NEXTGEN-AUTO』は、以下のように角田を評している。
 「ユウキにとっては悪い1日となってしまった。この日本人ドライバーはリカルド同様、順調にポイントを獲得しつつあったが、(49周目の)第1コーナーで非常に危険な仕掛けを試みたことで、オーストラリア人ドライバーが駆るマクラーレンと接触し、最後尾に後退した」

 最後に、イギリスのモータースポーツ専門サイト『THE RACE』は、角田を「メキシコGPの敗者」のひとりに選定し、「早期のピットストップは大成功で、さらにトップ10走行中に赤旗が出たことで、タイヤに関するアドバンテージをライバルから奪い取った。彼は(再スタート後に)すぐピアストリに迫ったが、彼との接触が、18番手からの素晴らしいリカバリーを台無しにし、チームにとってはウィリアムズ(12ポイント差の7位)との差を縮めるチャンスを失わせた」と厳しく指摘している。

 さらに同メディアは、「スチュワードは『両ドライバーに、全面的、または主に非難される行為はなかった」との見解を示したが、角田はピアストリにペナルティーを課すべきだと感じていた。しかし一方で彼は、ピアストリがお咎めなしだったことに驚かず、『主催者はトップチームを(我々とは)異なるように扱う』と信じている。『彼らはトップチームが大好きだから。それだけです……」と、角田は判定について述べた』と付け加えた。

構成●THE DIGEST編集部

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