11月8日(日本時間9日)にユナイテッド・センターで行なわれたフェニックス・サンズとシカゴ・ブルズの一戦は、アウェーのサンズが116−115で激戦を制した。

 2連勝で今季成績を4勝4敗としたサンズは、自己最多を更新する8本の3ポイントを沈めたグレイソン・アレンが26得点に8リバウンド、4アシスト、2ブロック、ケビン・デュラントが25得点、7リバウンド、9アシスト、ユスフ・ヌルキッチが20得点、17リバウンド、8アシストと躍動。加えて今季初出場を飾った新加入のブラッドリー・ビールが23分34秒のプレーで13得点、4リバウンド、4アシストをマークした。

 一方のブルズは、ニコラ・ヴュチェビッチが26得点、6リバウンド、ザック・ラビーンが22得点、8リバウンド、8アシスト、デマー・デローザンが22得点、7アシスト、2ブロック、コビー・ホワイトが11得点、7リバウンド、6アシスト、3スティールを記録するも、3勝6敗でイースタン・カンファレンス12位に転落した。
  もっとも、この試合の出場時間帯における得失点差で両チーム最多の+24を記録したのは、勝利したサンズの選手でもブルズの先発陣でもなく、ベンチスタートのアレックス・カルーソだった。

 ブルズ在籍3年目を迎えた29歳のコンボガードは、30分53秒間コートに立ち、3ポイント5本中4本成功を含む19得点に4リバウンド、2アシスト、3スティール、2ブロックの働きで、サンズ優勢の展開から延長へ持ち込む殊勲者となった。

「それは僕がお金をもらってやっていること。自分は優れたディフェンシブプレーヤーであり、オフェンス面でも優秀な選手へと成長していると思っている」とカルーソは言う。

 サンズは第4クォーター終盤で決着をつけるチャンスが何度もあった。だが196cm・84kgのカルーソが相手エースのデュラント(211cm・109kg)にへばりつき、スクリーンを使ってスイッチを狙うサンズの攻撃を簡単には許さず。終盤にデュラントが得意の右サイドへドライブしてエルボー付近から放ったプルアップジャンパーにも、しっかりとコンテストして阻止し、延長へ持ち込んでみせた。「彼はできることを何でもこなすハードワーカー。とんでもない男さ。俺は彼のことをロールプレーヤーだなんて言わない。どんなラインナップであろうと穴を埋めることができ、ゲームの流れを正しく読み、攻守両面で正しいプレーができる。ブルズは彼がいてラッキーだね」

 試合後、デュラントは手放しでカルーソを称賛。歴代最高級のスコアラーに対し、カルーソはこの試合で5分50秒間マッチアップし、なんとフィールドゴール成功率14.3%(1/7)の4得点+2ターンオーバーに封じてみせた。

 苦戦が続くブルズにあって、カルーソはトロント・ラプターズとの開幕2戦目でも延長終盤にパスカル・シアカムからボールをスナップし、左コーナーから決勝弾となる3ポイントを決める貴重な働きを見せている。

 ドラフト外からロサンゼルス・レイカーズでNBA入りのチャンスを掴んだ男は、ベンチプレーヤーからローテーションの一角となり、2020年のリーグ制覇に大きく貢献。昨季は初のオールディフェンシブ1stチームにも選ばれており、ブルズでも攻守両面で不可欠な存在となっている。
  カルーソは、ディフェンダーとして最高の栄誉である最優秀守備選手賞の獲得にも自信を見せる。

「僕がNBA入りするなんて、ほとんどの人が思っていなかった。チャンピオンシップチームの一員になり、オールディフェンシブ1stチーム入りすることもね。同じように大部分の人たちは僕が最優秀守備選手賞を獲得できるとは思っていないだろう。けれど僕はどんなことであろうと自分を除外したことはない。自分の手が届き得る高みへと向かって、インパクトを与え続けていく」

 キャリア7年目の今季、カルーソはここまで平均23.6分の出場で7.8点、3.9リバウンド、2.4アシスト、1.56スティールに加え、フィールドゴール成功率59.1%、3ポイント成功率44.0%(平均1.2本成功)という素晴らしい成績を残している。

 この男の真の価値は、ともに戦ったレイカーズ、ブルズのチームメイトやコーチ陣、そして対戦相手ほどよく理解しているはず。なかでもサンズ戦後にデュラントが発した言葉の数々は、カルーソという選手を表現するうえで端的かつ最大級の賛辞と言えるだろう。

文●秋山裕之(フリーライター)