今週末に開催されるF1の今季最終戦アブダビ・グランプリで、アルファタウリの角田裕毅はチームのコンストラクターズ・チャンピオンシップ7位浮上(現在ウィリアムズとは7ポイント差)を最大の目標としているが、それは今季限りで退任するフランツ・トスト代表のためでもある。

【画像】各チームニューマシンを発表!2023年シーズンを戦うF1全チームの新車を一挙紹介! チームのプレスリリースでは、「トストさんは僕がF1で一緒に働いた、ただひとりのチームのボスです。今季は、彼のために戦ってきたと感じており、彼のチーム代表としての最後のレースで、ウィリアムズを打ち負かしたいです。(中略)最終的に良い形で、望み通りにシーズンを終え、彼を笑顔にできればと思います」と、好結果を去り行く恩師に捧げることを誓っている。

 2021年にF1デビューを飾った角田は、シーズン前の合同テストや開幕戦バーレーンGP(9位入賞)では見る者を驚かせる好パフォーマンスを発揮したものの、その後は多くのクラッシュを喫してF1の厳しさを知り、自信喪失。そんな中、レッドブルの意向もあり、英国からアルファタウリの本拠地であるイタリア・ファエンツァに移り住んだ角田を、日々、自らストイックな姿勢を示してマンツーマンで鍛えたのがトスト代表だった。

 2年目も苦しみの方が多かった日本人ドライバーに対し、1956年生まれのオーストリア人名伯楽は、「若いドライバーが本当にF1に慣れるには、最低でも3年はかかる」と擁護。彼のサポートを受けた角田は、確実に心身両面で成長を遂げ、3年目の今季は多くの週末で安定したドライビングを披露し、性能の劣る車から最大限の力を引き出して結果を残して、関係者や各国メディアからも継続して高い評価を下されるまでになった。

 アルファタウリで3度目の契約延長を勝ち取った彼は、来季、新体制となり、名称も変更されるチームで、チームメイトの8度の優勝誇るベテラン、ダニエル・リカルドとのチーム内対決とともに、これまで以上のポイント獲得を目指しての戦いに臨むことになるが、そんな彼に対し、2006年(当時はトロロッソ)からチームを率いてきたトスト代表が最後のアドバイスを送っている。
  ポッドキャスト『Beyond The Grid』に出演した彼は、23歳のドライバーについて「ユウキはナチュラルなスピードを持っており、それは真のトップドライバーのものだ」とその資質の高さを称賛しながらも、「彼はさらに規律を正さなければならず、もう少し努力が必要だ。あらゆる面で、彼は少しばかり気楽に考えすぎている」として、その取り組みはまだ完全ではないと指摘した(『F1 OVERSTEER』より)。
 「テクニカル、食事管理、フィジカルなど、あらゆる点で着実に改善されてきてはいるが、完全なトップドライバーになるためには、まだ全ての面で、もっと努力しなければならない」とも語ったトスト代表。厳しい忠告とも言えるが、高いポテンシャルを秘めた若きドライバーへの大きな期待を込めてのメッセージだろう。

 ここまで角田は65戦に出走し、今季終了時点で66戦に達する。レッドブルの「サテライトチーム」という位置づけにあり、厳しい査定と容赦ない人事がなされるチームで、現時点で彼を上回る出走数を記録しているのはダニール・クビアト(89戦)とピエール・ガスリー(86戦)だけだが、来季予定されている全24レースを消化すれば、角田は計90戦でこのチームの最多出走ドライバーとなる。

 来季、トスト代表のいないチームで初めてF1に参戦する角田がいかなるパフォーマンスを発揮し、シーズンを終える頃にはどれほどの進化を遂げているのだろうか。まだ今季1戦を残しているが、F1に慣れるのに必要な3年を経ての日本人ドライバーの2024年シーズンは今から非常に興味深い。

構成●THE DIGEST編集部

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