個人タイトルの対象ではなくとも、プロの凄みが詰まった今季の部門ベスト3を紹介する。今回はセ・リーグの野手編だ。(※率系部門は規定打席到達者27人が対象)

OPSは独走&得点圏打率も1位――FA移籍1年目で期待に応えた近藤健介【表彰されざる男たち:パ・リーグ野手編】<SLUGGER>

■OPS(出塁率+長打率)
1.岡本和真(巨人) .958
2.宮﨑敏郎(DeNA) .934
3.坂本勇人(巨人) .884

 本塁打王レース独走で3度目の戴冠となった岡本は、長打率(.584)と総合的な打力を測るOPS(.958)で初めてリーグトップに立った。6年ぶりに首位打者獲得の宮﨑は、打率(.326)に加えて出塁率(.395)と長打率(.539)も自己ベストを記録した。宮崎同様に坂本も、衰えが隠せなくなっている選手が多い「1988年世代」にあって見事な打棒を発揮した。

■四球率(四球÷打席)
1.大山悠輔(阪神) 15.8%
2.村上宗隆(ヤクルト) 15.1%
3.岡本和真(巨人) 12.2%

 リーグ最多の99四球を選んだ大山が、全打席に占める割合でも最高値を記録。全試合で4番を務めただけではなく、四球増で得点力向上に成功した打線の象徴になった。その両方で、過去3年続けて1位だった村上は2位へ陥落。ワーストは大島洋平(中日)の3.0%で、3割近い打率をキープしながら出塁率.316は自己ワースト級の数字に終わった。

■三振率(三振÷打席)
1.大島洋平(中日) 8.7%
2.宮﨑敏郎(DeNA) 9.3%
3.関根大気(DeNA) 10.0%

 大島の8.7%は自己ベストで、四球獲得能力は落ちてもコンタクト能力は健在を示した。首位打者獲得の宮﨑は昨季の1位から順位を落としたが、2017年以降は毎年2位以内の安定感を誇る。DeNAは関根に続き桑原将志の11.3%が4位で、打線全体の15.9%はリーグ内で最も優秀。村上宗隆(ヤクルト)の168三振と28.1%がワーストで、一軍定着時の粗さがぶり返した。■BB/K(四球÷三振)
1.宮﨑敏郎(DeNA) 0.95
2.近本光司(阪神) 0.94
3.大山悠輔(阪神) 0.83

 1位の宮﨑と2位の近本は四球と三振の比率こそほぼ同じだが、それぞれの数は浅いカウントからでも積極的に打つ前者(41/43)と、深いカウントまで持ち込むことが多い後者(71/67)で大きな違い。規定打席未到達者ではヤクルトの青木宣親が1.39、川端慎吾も0.90と、ベテランの巧打者2人がランク入り水準の優れた打撃アプローチを披露した。

■得点圏打率
1.近本光司(阪神) .374
2.宮﨑敏郎(DeNA) .366
3.牧秀悟(DeNA) .354

 1位の近本は得点圏での打率上昇値.089も最高値で、下位からの好機演出を生かした。牧は得点圏でのOPS1.042がリーグベストで、自身初の打撃タイトルである打点王を獲得。シーズン全体では苦しんだ村上宗隆(ヤクルト)だが、得点圏ではリーグ最多の11本塁打と意地を見せた。期待の和製大砲として台頭した石川昂弥(中日)は、得点圏打率.184がワースト。■内野安打
1.岡林勇希(中日) 25本
2.大島洋平(中日) 24本
3.中野拓夢(阪神) 18本

 昨季に続いてリーグ最多の内野安打を記録した岡林は、11月に侍ジャパンの試合でも自慢のスピードで観衆を沸かせた。大島は年々盗塁を減らしているが、足で稼いだヒットがなければ今季は通算2000安打に届いていない。右打者最多は菊池涼介(広島)の15本で、山崎晃大朗(ヤクルト)は33安打のうち14本が内野安打と自慢の快足をアピールした。

■盗塁成功率
1.近本光司(阪神) 90.3%
2.並木秀尊(ヤクルト) 88.2%
3.関根大気(DeNA) 78.6%
※10盗塁以上

 28盗塁で2年連続4度目のタイトルに輝いた近本は失敗3のみで、成功率でも昨季に続くリーグベスト。ヤクルトは並木が15盗塁で失敗2、山崎晃大朗が9盗塁で失敗1と、接戦で2人の足を活用した。矢野雅哉(広島)は失敗なしで7盗塁。一方、中野拓夢(阪神)は20盗塁の一方で失敗はリーグ最多の12、岡林勇希(中日)は昨季から盗塁数が半減(24→12)、成功率60.0%はリーグワーストだった。■補殺(外野手)
1.ノイジー(阪神) 12
2.秋山翔吾(広島) 7
2.桑原将志(DeNA) 7

 強肩自慢のノイジーがリーグダントツの12補殺。緩慢な動きに誘い出されたランナーが繰り返し刺された。秋山は西武時代から補殺が多く、2015、16年にはリーグ最多を記録した実績を持つ。桑原はこれまでの自己最多4を大きく更新し、6年ぶりにゴールデン・グラブ賞に選ばれた。濱田太貴(ヤクルト)は、主力の半分ほどの守備機会で5補殺をマーク。

■盗塁阻止率(捕手)
1.中村悠平(ヤクルト) .407
2.大城卓三(巨人) .373
3.坂本誠志郎(阪神) .355
※規定試合以上

 中村は昨季の.364から4割台まで上昇させて、2年連続でのトップを守った。前年2位の大城はリーグ最多の盗塁阻止25を記録したが、率では1位に届かず。坂本は第2捕手の立ち位置だった昨季も.423と高い数値をマークしていた。対象選手外では山本祐大(DeNA)が.455と優秀。出番が減った梅野隆太郎(阪神)は.158とほとんど刺せなかった。

文●藤原彬

著者プロフィール
ふじわら・あきら/1984年生まれ。『SLUGGER』編集部に2014年から3年在籍し、現在はユーティリティとして編集・執筆・校正に携わる。ツイッターIDは@Struggler_AKIRA。

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