「スペインにおいて日本人選手の人気が高まっている」

 これは元スペイン紙の記者で、現在はペドリやフェラン・トーレス(ともにバルセロナ)、アルフォンソ・ペドラサ(ビジャレアル)といった選手のエージェント業務を担う『Leaderbrock』社所属の代理人、A氏(本人の希望で匿名に)の言葉だ。

 今シーズン、ラ・リーガ1部でプレーするのは、レアル・ソシエダの久保建英のみだが、「最近は同業者の間でも、日本人選手の名前が話題に上る機会が増えている」という。

 そんな中でも、A氏がラ・リーガで即戦力となり得る実力者として評価するのが、三笘薫(ブライトン)と冨安健洋(アーセナル)だ。前者は、左サイドを本職とするウイングが不在のバルサで重要な戦力になれると明言。4バックにも3バックにも対応できる後者も、「バルサでCBと右SBを兼務するジュル・クンデやロナルド・アラウホが担っている役割に、そのままフィットする」と語る一方で、「3バックがメインシステムのアトレティコ・マドリーも適正は高い」と述べる。
  またA氏は、希少価値の高い右SBとして菅原由勢(AZアルクマール)にも着目する。水準以上の守備力を土台に攻撃力にも長けている点を高く評価し、攻守両面で安定感をもたらせる右SBが枯渇気味のラ・リーガでは、興味を示すクラブは少なくないはずだという。

 中盤の選手で名前を挙げたのが、鎌田大地(ラツィオ)と遠藤航(リバプール)のふたり。鎌田は今夏、怪我が原因でダビド・シルバが電撃的に現役を引退したソシエダの獲得候補に浮上した。最終的にクラブの上層部はアルセン・ザハリャンを獲得したが、「鎌田のほうが即戦力としての働きが期待できただろう」と指摘する。

 遠藤については、「ラ・リーガの中堅クラブでレギュラーを担えるだけの力量を持った選手。例えば、中盤に強度を生み出す選手が不足しているセビージャやバレンシアで、中心選手として活躍する姿を見てみたい」と語った。 一方、同じく元スペイン紙記者で、現在はサッカーを専門としたビッグデータの分析を行なう『Driblab』社に務めるアレハンドロ・アロージョ氏が、ラ・リーガのクラブに強く推薦する日本代表選手は、セルティックの古橋亨梧だ。

「フィジカルの強さには欠けるが、鋭い得点嗅覚に加え、クロスボールに合わせたり、フリーランで背後に抜け出してフィニッシュに繋げたりといったプレーの質が高く、ポジショニングや機動力にも長けている」と述べ、プレースタイルの相性が良さそうなチームとして、人もボールも動くサッカーが特徴のラス・パルマス、ラージョ・バジェカーノ、ジローナの3クラブの名前を挙げた。

 また、この分析官のアロージョ氏は、DFの板倉滉(ボルシアMG)と伊藤洋輝(シュツットガルト)もラ・リーガで観てみたい選手とプッシュする。「ふたりとも技術が高く、ロングフィードで起点になることも、ドリブルで持ち上がることもできる。とくに伊藤のフィード能力の高さはブンデスリーガでも屈指だ」と評価。実際に、ラ・リーガ1部のクラブに彼らを推薦したことがあるという。
  堂安律(フライブルク)についても、「パンチ力と突破力を兼ね備えた魅力的なアタッカー」と評価。そのプレースタイルは、智将マヌエル・ペレグリーニ監督が構築する戦術的枠組みの中で、2列目の選手が自由度の高いプレーを見せているアンダルシアの名門、ベティス向きだと言い切った。

 ふたりの意見を総括すると、今後ラ・リーガに参戦する日本人選手が一気に増えそうな期待感が膨らむ。だが、そこでネックとなってくるのが、全体的に資金に余裕のないクラブが少なくない点だ。『Leaderbrock』の代理人A氏も、「三笘や冨安クラスの選手を獲得できるのはマドリー、バルサ、アトレティコくらいのものだ」と現状を憂う。それは、前述した菅原のような欧州5大リーグに所属していない選手に関しても同じで、「ブレイク後」の選手を獲得するのは年々厳しくなっているという。

 そんな中、対策としてA氏が提言するのが、佐野海舟(鹿島)のように、Jリーグで頭角を現わしている若手の先物買いだ。「これは随分前からブンデスリーガやベルギーリーグのクラブが行なっている手法だが、久保の活躍や日本代表の近年の躍進もあって、今後はラ・リーガでもそうしたクラブが現われる機運は高まっている」と語る。

文●下村正幸

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