ウィンター・ミーティングは、多くのフリー・エージェントが新たな所属先と契約を結ぶ場所だ。大谷翔平やホアン・ソト、クレイ・ベリンジャー、山本由伸といった選手の去就が注目される中、記者や球団幹部の間で話題に上らなかった大物選手がいる。2020年にサイ・ヤング賞を獲得したトレバー・バウアーだ。

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 その年のオフに3年1億200万ドルでドジャース入りしたバウアーは翌年、性的暴行で起訴された。事件の詳細が明らかになるにつれ、バウアーはイメージ悪化を恐れる球界から締め出された。22年2月に不起訴となったものの、直後に324試合の出場停止処分を受けた。異議申し立ての結果、処分は軽減されたが、ドジャースは昨年1月にバウアーを解雇した。

 だがその後、被害を受けたとされる女性の訴えはいずれも真実ではないことが明らかになった。

 今シーズンは日本のDeNAベイスターズでプレーしたバウアーはその結果、一風変わった立場に身を置くことになった。

 コンテンダー(注:優勝を争うチーム)も含め、バウアーがフィットする球団はいくつかある。だが、彼のように物議を醸す選手を獲得することでトラブルに巻き込まれるような事態は、どのチームも望んでいないだろう。


「ある球団幹部に以前、こう言われたよ。『その選手をチームに引き入れた責任を全面的に引き受け、記者会見でも矢面に立つ覚悟がないなら、獲得しない方がいい』とね」。匿名を条件に、さる球団関係者は言った。

 もっとも、適正な条件ならバウアーを獲得するチームも出るかもしれない。近年でも、犯罪歴のある選手を獲得し、批判を浴びた例はいくつかある。
  悪名高いのが、18年にアストロズがブルージェイズからロベルト・オスナ(現ソフトバンク)を獲得したトレードだ。当時、オスナは家庭内暴力でカナダ当局から起訴され、MLBから出場停止処分を受けている最中だった。

 アストロズの対処は稚拙で、冷酷ですらあった。ファンからも不評で、一部のアストロズの選手たちもオスナ獲得に怒りを顕わにした。

  一方、あまり反感を買わなかった例もある。今夏、レンジャーズは救援左腕のアロルディス・チャップマンを獲得した。彼は15年12月にガールフレンドの首を絞めたと告発されたことがあった。

 当時ヤンキースに在籍していたチャップマンは30試合の出場停止主文を受けた後、16年のトレード・デッドラインでカブスへ移籍した。その年のオフ、ヤンキースはFAとなったチャップマンを5年契約で呼び戻した。


 その5年契約は意外な結末を迎える。22年、チャップマンはポストシーズン前の練習を無断欠席し、そのままチームから離脱したのだ。

 レンジャーズにとっては、この一件の方が8年前のDV事件よりも懸念材料だった。クリス・ヤング編成総責任者は獲得にあたり、チャップマンの振る舞いを称賛する報告を得ている、と語っていた。
 ヤング編成総責任者は、過去にトラブルを起こした選手の獲得は難しいと認めている。レンジャーズも他の球団もケミストリーを重視しており、クラブハウスに"腐ったリンゴ"(注:周囲に悪影響を与える人物のこと)が入り込まないように留意している。


「人間は誰しも過ちを犯す」とヤング編成総責任者は言う。「その過ちを招いた要因について、一定の寛容と理解は必要だと思う。私たちが重視しているのは、過去に問題があったかどうかにかかわらず、その選手がうちのクラブハウスにフィットしているかどうかだ」

 バウアーは無実を証明した。しかし彼は、球界やファンから証拠もないまま有罪と見なされている。各球団は、彼と契約することで巻き起こるかもしれない批判に巻き込まれたくないと思っているかもしれない。

文●ジェフ・ウィルソン

著者プロフィール
『フォートワース・スター・テレグラム』紙で長くレンジャーズのビートライターを務め、現在はウェブメディア『レンジャーズ・トゥディ』で活躍。最近、レンジャーズの2023年ワールドシリーズ優勝について綴った著書『At Long Last』を発行した。

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