昨季までの「アルファタウリ」が「Visa Cash App RB」と名称を変えたことが大きな話題となっている中、このイタリア籍のチームはすでに始動しており、イモラでは角田裕毅、ダニエル・リカルドは2022年型マシン「AT03」を駆り、プライベートテストを行なっている。

 ローラン・メキーズ、ピーター・バイエルの舵取りの下で新時代を迎えた「V-CARB(チーム内ではこの略称が使われている)」は、姉妹チームであるレッドブルとの連係をより密にすることを明言しており、また昨季終盤に導入したアップデートが奏功して大量ポイントを獲得したことから、今季は過去2シーズンの不振を脱却し、中団争いのトップを争うことも期待されているようだ。

 ドライバーも、角田については誰もが昨季の成長ぶりを評価しており、リカルドもシーズン途中の起用で徐々に調子を上げ、自身でも完全復活に向けての手応えを掴んでいるようだ。首脳陣が求めた「経験と速さ」をともに備えているだけに、こちらも大きな期待を寄せられている。
  2人が切磋琢磨することで、チームが飛躍することが求められているわけだが、元フェラーリのチームマネジャーで、ジャーナリストやコメンテーターとしても活動してきたピーター・ウィンザー氏は、このチーム内対決は両ドライバーに利益をもたらすものではなく、「2025年にはどちらかがグリッドから姿を消すことになる」との見解を示した。

 かつて新たなF1チームの創設も画策した現在71歳のオーストラリア人コメンテーターは、F1ポッドキャストで「ダニエルとユウキの対決には非常に興味がある。実際のところ、もしユウキがダニエルを圧倒しなければ、彼のキャリアはおそらく終わるだろうし、逆にダニエルもユウキを圧倒しなければ、そのキャリアは終焉を迎えるだろう。ゆえに、両ドライバーにとって今季は多くのものが懸かっている」と語った。 レッドブルのセルジオ・ペレスの来季以降の去就が注目される中、彼の後釜候補の筆頭と見られているのはリカルドだが、もしこの34歳のベテランが今季も角田の後塵を拝し続けるようであれば、その権利は昨季、左手を骨折したリカルドの代役として好パフォーマンスを発揮したリアム・ローソンや角田に渡るといわれている。

 角田の場合、2026年からホンダが新たにパワーユニットを供給するアストンマーティンも新天地候補のひとつに挙げられているものの、今季リカルドを圧倒的に打ち破ることができなければ、フェルナンド・アロンソとの契約延長を望むアストンマーティンの首脳陣を納得させるのは難しいだろう。

 ちなみにウィンザー氏は、新シーズンのV-CARBの車については「おそらく、かなり良くなると思う。それは、(レッドブル代表の)クリスチャン・ホーナーが、ビザ・キャッシュアップ何とか…というチームで、より大きな役割を果たしているからということではない」と呼びにくいチーム名を皮肉りながらも、ポジティブな展望を示した。
 「アルファタウリには優秀な人材が多くいた。彼らを保ち続けられるのであれば、チームが必要とするテクノロジーを手にすることができる。だからこそ、彼らの車が遅いなんてことは想像できないし、ふたりのドライバーの対決を見るのが楽しみなんだ」

 この指摘がなくとも、才能を開花させつつある日本人と豊富な経験と実績を誇るオーストラリア人による対決は十分に興味深いものだが、その結果と、結末の先にどのような両ドライバーの未来が待ち受けているのかが、今季の大きな注目点のひとつとなる。

構成●THE DIGEST編集部

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