進化を続ける稀代のスケーターの単独アイスショーが千秋楽を迎えた。

 フィギュアスケート男子シングルで2014年ソチ、18年平昌五輪で2連覇を成し遂げた羽生結弦が自ら企画・台本・出演・制作総指揮を務める単独アイスショー『Yuzuru Hanyu ICE STORY 2nd "RE_PRAY" TOUR』の横浜公演が2月19日、神奈川県・横浜市内のぴあアリーナMMで開催された。

 22年7月にプロ転向以降、初の単独ツアー公演は昨年11月の埼玉を皮切りに1月の佐賀、そして今月17日に開幕した横浜で最終日を迎えた。会場は初日から超満員で膨れ上がり、この日も入場前から開演を待ちきれないファンが押し寄せるほど異様な雰囲気に。なかには中国や台湾からも駆けつける人もおり、会場外に設置された等身大パネルには記念撮影をするファンで溢れるほど、現役時代と変わらない人気ぶりは健在だった。
  ゲームの世界観を中心に羽生自身が考える人生観が随所に散りばめられた魅力的な作品の冒頭は『いつか終わる夢』からスタート。本ツアーで絶大な支持を受ける『MEGALOVANIA』、『破滅への使者』、『天と地のレクリエム』をはじめ、現役時代の名プログラム『Let Me Entertain You』、『SEIMEI』、『序奏とロンド・カプリチオーソ』など全12曲をひとりで滑り切った。

 特に『破滅への使者』の時には、競技会さながらの緊張感を演出。単独の4回転サルコウ、トウループ、トリプルアクセルなど切れ味抜群なジャンプを披露。洗練された高いスケーティング技術も併せて演技を終えると、のちに「やっとノーミスでできた…」と本音を吐露するほど、高い完成度を見せた。

 他にも、人気女性シンガー・Adoが歌う『阿修羅ちゃん』といったノリノリな曲を細かいステップで表現。映像やプロジェクションマッピング、照明をフル活用。身体全体を使った激しい振り付けで観衆のハートをワシ掴みにし、約2時間の公演はあっという間に終了。7000人の大観衆を集めた画期的なアイスショーは、大盛況のなか幕を閉じた。 終盤、羽生は1月の佐賀公演から休まず「1日6時間ぐらい筋トレしてた」と明かし、会場を騒然とさせる場面も。その理由は「いつ終わってもいいぐらい、毎回毎回魂をぶち込んで滑っているつもりです」と語り、全身全霊でどの公演も取り組んできたと強調。「今日という日が皆さんの記憶、一粒の砂みたいなものでもいいんで。皆さんの感情が少しでも残ってくれたら嬉しいです」と願いを込めた。

 羽生はラスト3曲を滑る前に去年から始まった単独ツアーの感謝をひと通り述べると、海外から来日したファンや配信、ライブビューイングでの視聴者のために英語で答える至極なファンサービスまで披露した。
  公演終了後の取材対応では、「アイスストーリーは、あらためてきつい」と思わず漏らすも「自分の中で、今日完結できたなっていうぐらいの達成感があった。ある意味、自分の中ではオリンピックを取ったなぐらいの勢いで、練習してきたことが達成できたので」と独特に表現。確かな手応えを掴むと、「まだまだ進化し続けたい」とチャレンジ意欲を示し、前を見据えた。

 プロスケーターとして肉体と精神を限界まで追い込み、最高のパフォーマンスを提供できるよう研鑽を積む羽生。スケートの可能性を極限まで追求する彼の歩みは、これからも続く。

取材・文●湯川泰佑輝(THE DIGEST編集部)

【PHOTO】プロフィギュアスケーター・羽生結弦の魅力が凝縮された単独アイスショー『プロローグ』

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