現地4月4日、アスレティックスは来季から3年間、本拠地をカリフォルニア州サクラメントにあるサター・ヘルス・パーク(ジャイアンツ傘下3Aリバーキャッツのホーム球場)に移すことを決定した。A'sは2028年からラスベガスへの移転が決まっているが、現本拠地オークランド・コロシアムのリース契約は今年限り。宙ぶらりんになっていた25〜27年の本拠地問題は、これで一応の決着を見ることとなった。

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 球団オーナーのジョン・フィッシャーも、MLBコミッショナーのロブ・マンフレッドも「サクラメントに感謝の意を表したい」と笑顔で述べたものの、球界の反応は祝賀ムードからは程遠い。地元紙『サンフランシスコ・クロニクル』の元A's担当記者スーザン・スラッサーが「長い間献身的に働いてきたA'sの球団職員、素晴らしいファンに同情を禁じ得ない。今日は球界にとってあまりにも酷い日だ」と述べているように、アスレティックスへの批判的な報道が相次いでいる。

 というのも、今回の決定までのプロセスに大いに疑念が生じているからだ。アスレティックスはサクラメントへの一時移転と並行して、オークランド残留も模索していた。オークランド市も今年2月、5年9700万ドルでの球場リース契約延長を提示。3年後にオプトアウトできる条項も盛り込まれていて、ラスベガス移転を控えたA'sにも配慮した内容だった。

 このオファーに難色を示した球団に対し、市は4月に入って条件を6000万ドルまで引き下げていた。移転が決まっている球団に対して度重なる譲歩を見せた形だが、にもかかわらずフィッシャー・オーナーは「合意に達するのは難しい」として、サクラメントへの一時移転を決めてしまった。
 『ESPN』のバスター・オルニー記者によれば、球団の希望額と市の条件の開きは、約3500万ドル程度だったという。オルニー記者はは「これはエンジェルスがリリーフ投手のロバート・スティーブンソンに支払う金額(3年3300万ドル)とほぼ同じ」とした上で、「理解不能。あまりにもひどい決断だ」と非難している。

 フィッシャー・オーナーが会見で放った言葉も”炎上中”だ。「観客席とフィールドの距離がMLBで最も近い球場になる」と語ったまでは良かったが、「アーロン・ジャッジ(ヤンキース)のようなトップスターがここでホームランを打つのが待ちきれない」と余計なフレーズまで付け加えたことで、「相手チームの選手がホームランを打つのを楽しみにしているとはどういうことだ」と非難が殺到したのだ。

 前述のオルニー記者は、臨時移転決定までの過程をまるで「安っぽい道化芝居」のようだと表現している。レジー・ジャクソンやリッキー・ヘンダーソン、デニス・エカーズリー、マーク・マグワイアといった数々の個性派スターが躍動し、「マネーボール」でも一世を風靡したオークランドA'sの60年近い歴史は、あまりにも寂しい幕引きとなってしまった。

構成●SLUGGER編集部

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