この夏、通勤でにぎわう駅前などを眺めると、白いシャツにリュックサック姿のビジネスマンをよく見かけました。この傾向はスーツ、コート着用が増える秋冬も続きそうなのです。大手カバン会社では、ビジネスリュック人気がここ1、2年一気に加速し、「2016年の売り上げは前年比約2倍。今年も好調に推移している」(大手カバンメーカー)といい、若者だけでなく40代、50代の中高年層にも広がっています。人気の背景にはスマートフォンの普及と、東日本大震災後、通勤時に「両手を開けておきたい」という心理が高まっているからのようです。

スーツでも違和感ないものに需要

 兵庫県の大手量販店。カバンコーナーでは50個以上のビジネスリュックが並べられ、売り場で大きなスペースが割かれています。5、6年前は購入者のほとんどが20歳代から30歳ぐらいの若い人だったそうですが、売り場担当者は「ここ1年で年配層の購入が急に目立つようになった。50歳以上のビジネスマンも珍しくない」と言います。売れ筋は1万円から1万5000円ぐらいで、黒色が人気。軽めで手提げとしても使えるタイプがよく出ているといい、「スーツ、コート姿でも違和感のないものが求められる傾向」と分析していました。

 バッグメーカー大手のエース(東京)によると、2016年のビジネスリュックの販売数は前年比で約2倍に急増。2017年の売り上げも好調といい、「今年に入って確実にリュックを使う人が増えたと実感している。求められるデザインやサイズ感の要望も多様化してきている」と話します。

 もともとビジネスリュックは健康志向による自転車通勤の増加などで普及が進んでいました。さらに2011年に発生した東日本大震災以後、災害対策として「両手を開けて通勤したい」という考え方も広がりこの傾向が強まったと同社はみています。さらに総務省の調査によるとスマートフォンの世帯普及率は2011年末には30%程度だったのが、2015年末には70%を超し、片手で操作しにくいスマホの利用が増えることでリュックのニーズが高くなっているようです。エースでは「男性だけでなく、女性のビジネスシーンでのリュックにも着目し、バリエーションの拡大に努めたい」と意欲的です。