沖縄の土産物店などで販売されているご当地サイダー「琉球泡水」。沖縄県で泡盛を製造・販売する「久米島の久米仙」(島袋正也社長)のもろみ酢を使用した新商品だが、実は静岡県島田市の飲料メーカー「木村飲料」(木村英文社長)との共同企画で生まれた。沖縄の泡盛メーカーと静岡の飲料メーカーがコラボするに至ったのには、どのような経緯があったのだろうか?

木村飲料はダルマサイダーが大当たり

 JR島田駅から車で約10分の住宅街にある木村飲料本社は、1階がサイダーやラムネ、シロップやリキュールなどの直売店となっていて、見たところ地元の酒店といった雰囲気。「うちのような会社は下駄屋と同じで、昔は地域に1社はあった」と木村社長。同社は、現在の木村英文社長で3代目。木村社長の祖父が昭和22(1947)年に創業し、当時からラムネを製造、販売していた。

 木村社長の説明によれば、昔は同社のような地域飲料メーカーが各地の駄菓子店や酒店でサイダーやラムネを売っていた。しかし、コーヒーメーカーやビールメーカーなどが清涼飲料水に参入して熾烈な競争を繰り広げるようになり、一方で駄菓子店が減り、酒店も軒並み大手メーカーの系列に入ると地域飲料メーカーの販売ルートは先細りし、地域メーカーは次第に姿を消していった。

 同業者が次々と止めていく中、木村飲料は「必勝合格 ダルマサイダー」を平成17(2005)年に製造して発売した。中身は通常のサイダーだが、容器をダルマのデザインにし、神社で合格祈願を受けた原料を使用した。「商売のために合格祈願をしてくれる神社がなく、どこにお願いしても断られた。36神社に断られ、37社目にお願いした静岡の森町にある谷崎天神社が『同郷のよしみ』ということで祈願をしてくれることになった」と当時を振り返る。

 この「必勝合格 ダルマサイダー」が大当たりし、大手コンビニやスーパーなどから注文が殺到、製造が出荷に追いつかない状態だったという。ダルマサイダーが売れたことから「頭を使えばまだ生き延びることができるとの確信を抱くようになった」と木村社長。平成19(2007)年からは、ユニークラムネ、地ビールならぬ地サイダーという新しい分野のサイダーやラムネの製造を開始した。

 カレーとラムネを合わせたカレーラムネや静岡の産品を取り入れたわさびらむね、お茶らむね、富士山サイダーなど従来なかった発想でサイダーやラムネを作り続けている。今年も静岡・駿河湾の桜エビのエキスをサイダーに入れた桜エビサイダーを発売した。