日銀は20日の金融政策決定会合で、2%の物価上昇目標の達成時期をこれまでの「2018年度ごろ」から「2019年度ごろ」に先送りした。物価目標達成の先送りは6回目になる。会合後に会見した黒田東彦総裁は、デフレマインド的な慣行が根強くあるとあらためて指摘。何回も先送りになるのは残念としながら「物価安定に向けたモメンタムはしっかり維持されている」と繰り返した。

物価安定へのモメンタムは「しっかり維持」

 この日の金融政策決定会合でまとめた「経済・物価情勢の展望(展望レポート)」では、景気は緩やかに景気拡大しているが、消費者物価については弱めの動きであるとしている。

 物価上昇の動きが鈍い理由について、黒田氏は「賃金・物価が上がりにくいことを前提とした考え方や慣行が企業や家計に残っている」ことを挙げた。こうしたデフレマインド的な慣行は欧米に比べて根強いという。

 企業は賃金上昇をパートなどにとどめたり、省力化投資の拡大などで賃金コスト吸収の動きを進めていて、「高水準の企業収益に比べて企業の賃金・価格設定スタンスはなお慎重」。ただこうした動きが「ずっと続くとは想定していない」として、賃上げへの姿勢は次第に積極化するとの見通しを示した。

 消費者物価の見通しについても、展望レポートでは、期間前半を中心に下振れているものの、終盤にかけて上昇率を高めていくとしており、「2%の物価安定目標に向けたモメンタム(勢い)はしっかり維持されている」と強調した。

 物価上昇目標の達成時期先送りは、昨年11月に続き6回目。「2019年度ごろ」に先送りされたことで、18年4月までの黒田氏の総裁任期中の達成は断念することになる。黒田氏は、欧米各国の中央銀行でも物価見通しが何度も先送りになっていると指摘し、「何回も先送りになるのは残念だが、今後の経済動向を踏まえて適切な見通しをつくっていくべきだ」と述べた。

 金融政策は、引き続き現状の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を維持することになった。度重なる目標先送りを受けて金融政策変更の必要性はあるかとの問いも出たが、予想物価上昇率が上がると実質金利は下がっていき、金融緩和効果が高まることなどとして「フレキシブルに対応できる、持続可能性の高い金融緩和のフレームワーク」だと語った。