西井戸さんによると、井川線は井川ダムを建設する際の資材運搬などのためにつくられた鉄道。かつては、現在、遊歩道の一部になっているトンネルを通るルートに線路が敷かれていたが、井川ダムが作られた後、長島ダムが新たに作られることになり、線路を長島ダムの上を通すため急勾配の線路に列車を走らせることになった。その結果、アプト式が導入されたという。新たなダム建設がアプト式鉄道を生み、そして今、地域の観光資源となっているのだ。

 遊歩道はキャンプ場を通り、長島ダム湖の素晴らしい景観をのぞみつつ長島ダム駅へと至る。愛知県から家族で訪れたという男性は「7歳の子供が大井川鐡道に乗りたいというので来ました。自分はダムが見たかったので、井川ダムを見て、長島ダムを見にきました。自然の中を走る井川線は、乗っていて感じる風も匂いも素晴らしくて、とても楽しかったですね。ぜひ、また来たいと思います」と話していた。

 大自然の懐を走る井川線だが、随所で地域の営みも垣間見せている。そのことが井川線をより魅力的な鉄道にしているのかもしれない。