AIによって生み出された利益は誰のものなのか。AIを使った製品やサービスの普及が確実視される中、経済産業省が指針作りに乗り出します。

指針の作成を進める経産省

 経済産業省では有識者会議を通じてAIの利益配分に関する指針の作成を進めており、3月をメドにひな型を策定するそうです。同省が主に想定しているのは、AIを使ってビッグデータを解析するようなケースで、ビッグデータを持ちAIを活用する側の企業と、AIの開発企業との間で利益をどう配分するのかについて検討します。

 ビッグデータを持ちAIを活用したいのは主に大企業で、開発を請け負う側はベンチャー企業であるパターンも多いと考えられます。力関係だけで契約が決まらないよう、指針作りを急ぎます。

賢くなったAIから得られた利益はどちらに帰属?

 もっともこうした契約パターンはAI特有の話というわけではありません。これまでも大企業が外部企業に開発を依頼するにあたり、そのシステムを使って得られた利益をどう配分するのかというのは、契約における最重要ポイントでした。

 開発側の技術が極めて高度で交渉力があれば、発注側はある程度の利益を開発側に配分する必要があります。一方、それほど高度な技術でなければ、買い切りとなり、開発費以上の金額は支払われません。委託する内容がAI関連であってもそれは同じことです。

 ただAIの場合には、事情が少々異なる部分もあります。AIは自ら学習し賢くなってくるという特性を持っているからです。納入されたAIが賢くなり、それによって得られた利益は、どちらに帰属するのかというのは難しい問題となります。逆に自己学習したAIが何かトラブルを起こした場合、開発側は責任を負うのかという問題も浮上してくるでしょう。策定される指針でこのあたりがどう定義されるのかがポイントということになりそうです。

企業が利益を得ても労働者に還元されない?

 今回の指針とは直接関係ありませんが、将来的にはさらにやっかいな話も出てきます。人の労働の多くがAIに置き換わった場合、人件費がほとんどかからない企業が増えてくる可能性があります。この場合、企業が利益を得ても労働者に還元されることはありません。

 従来の経済では、企業が儲かれば労働者に利益が還元され、それがさらに景気を後押しするという流れが確立していました。しかしAI社会の場合、そうした循環が確立しにくくなります。場合によってはAIで得た分の利益について追加で税金を課し、国民に再分配するという仕組みも必要となるかもしれません。

(The Capital Tribune Japan)