第157回直木賞を「月の満ち欠け」で受賞した佐藤正午(しょうご)氏(61)は19日夜、「直木賞をずっと意識して書いたわけではなく、僕なりの作家人生を歩いていたら、今回ばったり直木賞に出会った、という感じ」と喜びを語った。住んでいる長崎県佐世保市から電話インタビューで答えた。

「作家の人生って、いろんなコースがあると思う。早いうちに直木賞に出会う道を歩む人もいれば、僕のようにこの年になってばったり出会う人もいる。そういうことだと思う」

 1983年に「永遠の1/2」で第7回すばる文学賞を受賞してデビュー。34年目での直木賞ノミネート、そして受賞となった佐藤氏は淡々と語った。

 1955年長崎県佐世保市生まれ。デビュー以来、「Y」「ジャンプ」「アンダーリポート」「鳩の撃退法」など数々の作品を手がけてきた。これまでの作家人生を「良い編集者に出会って、マイペースで書いてこられた34年間」と振り返る。

 会見の途中には「想像していた質問とぜんぜん違う質問が飛んでくる。何と答えていいのか分からない」とこぼす一幕も。記者に促されて、「60(歳)を過ぎて初めて候補になったのは今更と思いませんか、というのを予想していたが、(それに対しては)思いません」と答えるつもりだったと“想定問答”を披露した。
 
 直木賞を受賞しても、マイペースな作家人生を維持する考えだ。「マイペースを維持するというのは、たとえば(直木賞の)受賞で原稿依頼が殺到しても、全部引き受けないということ。作家としての許容量があるので、そういうことになると思う」。

 佐世保市で小説を書き続ける作家人生。母親も同市に住んでおり、離れるわけにもいかないというが、授賞式には来るのかとの問いには「もちろんです」とはっきり答えた。

(取材・文:具志堅浩二)