たまたま遭遇した漁具を求めアポなし取材、その成果は?

 研究者は事前に設定されたテーマのみを調査しているのではない。同館スタッフらが大分県内の干潟で貝などを採集した際、地元の女性たちが野球場のグラウンドを整備するような作業を始める瞬間に出くわす。

 地ならしをする「トンボ」のような道具の先に、コの字型の鉄の刃がついている。干潟の表面を水平に探ると、刃にカチンと当たる手ごたえがあるという。ハマグリだ。スタッフが初めて出合った道具はハマグリを採るための専門の漁具であることが分かった。

 入手しようとホームセンターへ走っても、見つからない。それでもスタッフはあきらめない。地域住民らにアポなし取材を敢行しながら、ついに漁具を製作する鍛冶屋に辿り着く。ベテラン鍛冶職人は快く見学に応じてくれた。漁具の名は「ジャリン」。新しい知見を得た取材成果は、ジャリンの現物展示やインタビュー記録動画として公開されている。

 会場には1956年ごろ、大阪市内在住の小学生が夏休みの自由研究として堺市内の海岸で採集した貝殻の標本を展示。今では大阪湾で見られなくなった貝の貝殻も含まれ、小学生の標本でも貴重な研究資料になるという。

 担当学芸員の石田惣さんは「瀬戸内海には歩いて行ける渚がたくさんあります。ぜひ夏休みに瀬戸内海へ出掛けて、気になる生物を見つけたら、調べてください」と呼びかけている。10月15日まで。詳しくは大阪市立自然史博物館の公式サイトで。
(文責・岡村雅之/関西ライター名鑑)
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